11月5日(日) 早朝6時より、『桃太郎大全集(仮)』の仕様書作り。 昨夜から気になっている箇所が頭にこびりつていたので、手直し。作品作りが最高潮 になるにつれて、眠れない日が増えて行く。 午前7時30分。娘が戸田圭祐に大阪のエキスポランドに連れて行ってもらうという ので、でかける。 どうもこのあと、仕様書作りが煮詰まって、二度寝。 巨人軍の優勝パレードを見ても、号泣する徳光さんって、ファンの鑑だよなあ!と思 いながら、熟睡。 午前10時。東京から、きょうの一番乗りが到着! 高円寺の整体のお兄ちゃんだ。 本来、昨日京都で研究会があるというので、今回の暴飲暴食ツアーに参加することに なったんだけれど、日にちを間違えていて、研究会で招待されるのは、来週だったそう だ。 だったら、参加できないのだと思ったら、まんまと治療院のほうを、閉めて参加とあ いなった。どうしてうちの知り合いは、「食」に命を賭ける人たちばかりなのだろうか。 まあ、同病でないかぎり、うちの家族と付き合うのは難しいとは思うが。 午前11時。整体のお兄ちゃん・梅津実くんと、イノダコーヒ本店へ。 タマゴサンドに、イタリアン・スパゲティに、ビーフカツサンド。 「お兄ちゃんは、このお店初めてなんだから、スパゲティも美味しいよ、タマゴサンド も美味しいよ!」と言って、私と嫁が勧めると、お兄ちゃんはほいほい食べてくれる。 「朝、ちゃんとご飯食べてきたんだけどな…」 さすが、大食漢のお兄ちゃんだ。 仕事は違えど、デブ揃いの桃太郎チーム入り十分な食いっぷりと、体格だ。 午後12時。きょうは京都相互タクシーの宮本さんではなくて、井堀さんの運転で、 京都鳥居本の「平野屋」さんまで行く。 あゆ料理のお店として、日本でいちばん有名なお店だ。実はこのお店の次期15代目当主が、私たちがよく行く青山「穂積」に修行しに来て いた。次期当主といっても、若い。 青山「穂積」から、独立してお店を開いた、樋口くんとは、先輩後輩の関係。 訪ねて行くと、次期15代目当主・井上匡人くんはいた。 青山「穂積」で修行していた頃は、けっこう頼りない顔をしていたのに、こっちに戻 って、わずか半年で、きりっとした顔になったのには、びっくりした。 聞けば、午前3時に起きて、中央市場に行って、仕入れをしてきて、そのあとはずっ と家の手伝いをしているそうだ。 仕事が人の顔を変えるものだなあ。 デジカメで神宮前「樋口」を見せてあげた。 「あっ、この人は!」 「やっぱり覚えてるんだ、ナムコの岸本好弘さん!」 「穂積によく来てくださいましたよね!」 東京と京都と、離れた場所なのに、幾重にも重なった人間関係が増えていくのは、素 晴らしいことだよねえ。 京都でも老舗中の老舗である「平野屋」さんは、いろんな雑誌で、TVでもおなじみ だから、整体のお兄ちゃんも「なんか見たことのあるような家だ」と何度も言っていた。 そのくらい有名なお店。 おっと! 整体のお兄ちゃんそっくりな物が置いてあるぞ! 無理やり、お兄ちゃんを並ばせて、デジカメする。 う〜む! 見事なまでにそっくりだ。お腹の辺が特に。 お店で、抹茶をいただいたあと、鳥居本から、化野(あだしの)念仏寺あたりを抜け て、二尊院まで歩く。いわゆる嵯峨野。 昔はこの界隈には、まったくお店なんかなかったんだけど、今や道の片側がびっちり お土産物屋さん、小間物屋さん、雑貨屋さん、甘味屋さんで埋まっている。 おそらく20年ぶりで訪れた観光客なら、一体どこに来たのかと、迷うほどだと思う。 二尊院で、再び井堀さんの車に乗って、京都のマンションへ。 たいした距離ではないけど、今回京都で初めて歩いたという実感が湧く。 午後2時。私だけマンションに残って、嫁と整体のお兄ちゃんは、京都見物へ。 ひとりで黙々と『桃太郎大全集(仮)』の仕様書作り。 いちばんアイデアを必要とする場面をすべて書き上げて、あとはこまかいメッセージ や、アイテムの解説文といった、醍醐味のない部分ばかり残っているので、どうも煮詰 まる。 クリエイターは、つくづく単純作業が苦手だ。 「アイテムの説明文なんか、アシスタントにまかせてしまえばいのに!」と、よく言わ れるが、こういうところの文章がいいかげんだと、プレイヤーが難しい謎解きに直面し たときに、ガマンして、謎解きに集中してくれなくなるから、アイテムの説明文といえ ども、他人に任すわけにはいかないのだ。 謎解きは、難しければ難しいほどおもしろいが、お客さん側との信頼感が無いと、さ っさと中古屋さんに売り飛ばすという動作で、評価を与えてくれる。だからこそ、「こ のゲームなら、少々難しい謎解きもガマンしてやってあげてもいいな!」と思わせるよ うな、こまかい配慮が必要なのだ。 素晴らしい和食料理のお店が、値段の高い爪楊枝を置いているようなものかな。 午後5時。暴飲暴食ツアーの主役たちが続々到着! 静岡から、大道芸フェスティバルを見た、その足で到着の、柴尾英令くん! 京都淀競馬場から、成沢大輔くん! 1日じゅう、娘のお守りをしてくれた戸田圭祐も、柴尾英令くんと、成沢大輔くんに ご挨拶ということでやって来た! そのわりに、口をもごもごさせて、昨今のお礼を言 えないのが、いかにも戸田圭祐らしい。 口に出して、態度に出して、お礼が言えないと、今度また何かあったときに、成沢大 輔くんが助けてくれなくなるぞ! 嵯峨野で見つけた文字を記す。活目して見よ! 戸田圭祐! 実は、このメンバーの本当の目的は、明日にある。 しかし、暴飲暴食ツアーのメンバーとしては、2日連続で、狂乱したいという我が家 の願望に異論をはさむ者無し! あの私の日記では、あまりにもおなじみすぎる、あのお店に行くことになっている。 そう! このメンバーで行くとしたら、あそこしかない! 特に名を秘す、私の日記史上、一見(いちげん)さんお断りのお店「M」だ! 最近省略して、「M」と表記しているので、「M」という名前のお店だと思い込んで、 探しているさくまにあの人も多いようだけど、頭文字が「M」なだけ。 お店の名前と、住所、電話番号は公表していない。 きょうはお座敷ではなくて、ひさびさにカウンター席。 娘、柴尾英令くん、私、成沢大輔くん、嫁、整体のお兄ちゃんの順で並ぶ。 カウンター席は、カウンター席で、「M」のお父さんの、神業のような包丁さばきを 見ることができるので、料理の味を楽しむこと以上の感動が味わえる。 昨日見た、ランディ・ジョンソンの高速スライダーのようなキレのよさ、はたまたサ ルティンバンコのような驚き、仰天を特等席で見ることができる。 さすがの私も、きょうはたとえ「M」でも、暴飲暴食のかぎりを尽くすと、明日の首 位決戦に差し支えるので、打たせて取るピッチングだ。なるべく、娘と柴尾英令くんに 料理を勧めて、もっと手を出したい気持ちをぐぐぐっ!と押さえて、ひとつひとつの料 理を味わう。 おかげで、体重が増えずにすんだ。 明日、自我を失うと、1日で4キロ増も冗談ではない食べ物が待っている。 でも、いくら控えめな食べ方しても、美味しい物は美味しいんだよ〜! ウニ、イカ、焼きフグ、中トロ、焼きヘレ肉、焼き鴨、すっぽん、ふかひれスープと いった、大リーグの名選手たちの打棒にただただ感動するのみ。 本日のMVPは、焼き鴨かな? 薄くスライスした鴨に、ネギを巻いて、マスタードをちょろりと塗って食べれば、あ っというまにそこは桃源郷だ。 「うっひっひっひっひ〜!」と、成沢大輔くんが叫べば、「うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」と、柴尾英令くんが、波線の長〜い感嘆符を連発する。 その脇で、「ふふふふふ。私、しあわせ!」を連呼する中学生もいる。 「このシーフードなら、あと10杯ぐらい食べられそうだな!」という、恵比寿さんに よく似たお兄ちゃんがいる。 「また、糸井重里さんにメールしようかなあ!」と、柴尾英令くん。 「1ヶ月も立たないうちに、メールしたら迷惑だよ、柴尾くん!」 「いいかげんにしなさい! ♪ズンチャッチャッズンチャッチャッだぞ!」 ほとんどみんなの会話が、かみ合うことなく、「わっはっはっは!」でまとまってい く。 「いかがなものか!」 「いや、ふとどきなものか!」 「間違いなく、オレたちは、ふとどき!」 「中途半端に美味しい物をちょびちょび食べるより、ここまで後ろめたいものをガバガ バ食べれば、絶対意地でもいい仕事しなきゃいけないと思えるぞ!」 なんとなく、まとまっている気がするでしょ。 しかし、3年ほど前に知り合った柴尾英令くん、去年知り合ったばかりの成沢大輔く んと、こうして京都で舌鼓を打っているのだから、 「食」の結びつきというのは、素晴らしき哉である。 「遠くの親戚より、近くの食い道楽者」ですな。えっへっへっへ。 午後8時30分。休日のはずの京都相互タクシーの宮本さんが、きょうここに来る ことを覚えていて、迎えに来てくださる。 整体のお兄ちゃん、柴尾英令くん、成沢大輔くんは、さらなるお酒を求めて、祇園 方面へ。 わが家族は、宮本さんとブライトンホテルで、コーヒー。 一昨日、伊賀上野の帰りに寄ったときと、おなじコーヒーにモンブランを食べる。 まるで、この間の続きのようだ。 午後10時。マンションに戻る。 このまま寝ると、罰が当たりそうなので、もうちょいと仕事をしてから寝る。 お酒が飲めないと、いくらたくさん食べたあとでも仕事ができるので、便利だ。何が 便利なのか、よくわからんが。 明日、いよいよ暴飲暴食ツアー、最高潮!
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