11月2日(木)

 朝から、インターネットをあっちこっち。
 柴尾英令くんのところの日記で、『メタルマックス』が、すんごいことになっている
なあ。ゲーム業界も末期症状だ。出版業界のほうが、早く崩壊すると思っていたけど、
そんなにゲーム業界が必死になって、下り坂を走らなくてもいいのに。
『メタルマックス』は、ほかの会社から発売することが可能なのだろうか?

 横浜ベイスターズの進藤、戸叶、新井選手が、オリックスの小川選手をはじめとする
3選手とトレードになるらしい。
 新しい監督になると、こういう動きが活発になるなあ。
 なんだか、阪神の新庄選手もFAで横浜ベイスターズに来るみたいだし、一体横浜ベ
イスターズの来年の先発メンバーはどうなってしまうのだろう?
 とくに外野手。鈴木尚典選手は、外せないとしても、外野に専念する予定のハマのニ
ュースター・金城選手、今年3割2分台の打率を残した、中根選手。常時出場なら、3
割も打つ、波留選手。もうこれで4人いる。ここに、新庄選手が入ったら、どうなって
しまうんだ?
 進藤選手を放出して、ローズが引退。
 内野手が2人もいなくなってるんだよ〜! 外野手ばっか増えていく。
 
 午前10時30分。恒例の京都散歩道コースを敢行。
 麩屋町通りを下って、錦市場にぶつかったら、右折。中央鶏卵のおばちゃんに挨拶し
て、市場を見て歩く。
 秋の市場の主役は、栗。栗餅、剥き栗などが並ぶ。意外なほど、松茸が少ない。
 若狭の柳かれいが、透き通るような色で、きれいだなあ。
 お漬物が美味しそうだ。お腹をきゅう!と言わせる。
 腹減った。
 いかん。不覚にもイノダコーヒ四条店まで、お腹が待てなくなってきた!  午前11時。「もちつき屋」に入る。ここは2年前くらいに開店したばかりのお餅専 門店。お餅料理専門店は、「きた村」という、抜群のお店を知っているので、このお店 に対する評価は、高くない。  でも、食べ物屋さんがほとんどない錦市場では、繁盛するのか、きょう入ってみて驚 いた! あんなに小さかった店内が、奥まで伸びて、なんと60席のお店に発展してい たではないか!  やっぱり、隙間産業は栄えるねえ!  こうして私のように、錦市場でお腹を空かせた人間を収容するお店がまったくないの よ、錦市場の通りは。西麻布「たぬき」みたいに魚を食べさせてくれるお店でもあった ら、行列ができてしまうぞ。  店頭に陳列されていた「おぞう煮点心」に目を奪われた。  白味噌のおぞう煮に、花びら型の赤飯まで乗っている。私の好きな食べ物が2つとも 入っているなんて、何て魅力的なんだ。少々味が悪くてもいいぞ!と、入ったのだが、 店員がいうには「お赤飯が無いので、海苔を巻いたお餅になってしまうんですけど、よ ろしいでしょうか?」。 「ん?」  一瞬何のことか、わからない。  でも血液A型の人間は、まず「はい、いいですよ!」と答えてから、ゆっくり今の言 葉を反芻する。 「お赤飯が無いから、お餅?」 「お餅に、おぞう煮…?」 「それじゃ、井沢どんすけ粽(ちまき)事件ではないかあ!」  ここで、井沢どんすけ粽(ちまき)事件を解説しよう。  井沢どんすけとは、現在『週刊少年ジャンプ』の読者ページ『ジャンプ団』を構成し ているライターである。『ジャンプ放送局』時代は、どんちゃんというペンネームで優 勝している。先日もハドソンまで、『桃太郎まつり』をテスト・プレイしに来た、伝説 の男である。  平成時代初頭、どんちゃんは、『天外魔境2』のシナリオ・アシスタントの仕事をし ていた。しかし一向に完成しない『天外魔境2』に、どんちゃんの財力は尽きようとし ていた。当時、印税契約をしてしまったどんちゃんは、ゲームが完成しないかぎり、お 金が1円も入ってこない状態だったのだ。  だから、1〜2日くらい、まったく食事をしていないという日もあったという。  ほとんど巷で『電波少年』を実践しているようなやつだった。  しかし、どんちゃんの空腹も限界に達していた。 「ダメだ。ご、ご飯を食べなきゃ、死ぬ!」  ありったけの小銭をかき集めて、どんちゃんは、めまいをガマンしつつ、近所の中華 料理屋に向った。    とにかく、まずご飯を食べないことには、家に帰ることもできない。  ご飯を注文だ。ご飯だけでは、栄養が足らない。  でもお金が無い。とてもチンジャオロースーとか、酢豚のような豪勢な料理を注文で きるようなお金が無い。  どんちゃんは、ひらめいた!  春巻だ! 春巻なら、カロリー高そうだし、2本来る。値段も安い! ご飯と春巻2 本では、ちょっと栄養が足らない気がするが、今はそれどころではない。  意を決して、どんちゃんは、店員に注文した! 「ご飯に、粽(ちまき)ください!」  どんちゃんの頭のなかには、春巻の絵が浮かんでいた。  しかし、朦朧としたどんちゃんの頭には、絵は浮かんでも、その名称が出てこなかっ たのだ。メニューを見て、どんちゃんは、春巻の名前を「粽(ちまき)」と勘違いして いたのであった。ジャジャーーーン! 「はるまき」と「ちまき」。たしかに似ているが…。  かくして、どんちゃんは、粽(ちまき)をおかずに、ご飯を食べたのであった。  世にこれを、「井沢どんすけ(粽)事件」とぞいふ。  おっと、長い閑話休題になってしまった。  どこまで話したんだっけ?  そうか。「おぞう煮点心」のお赤飯が無くて、海苔を巻いたお餅と、白味噌のおぞう 煮になってしまった話か。  う〜ん。どんちゃんの話をしたら、私の「餅+餅」の話なんか、十分すぎる豪華料理 だから、この話はもういいや!
 白味噌のお餅はなかなか美味しくて、京都旅行初心者は、ぜひこの錦市場通りを訪 れるべきだし、白味噌のおぞう煮を食べると、京都に来たなあ!という気がするので、 『るぶぶ』? 『るるる』?とかいう、観光雑誌に書かれたお店に入るくらいなら、 この「もちつき屋」で、食事したほうがいい。  おぞう煮点心・750円のほかにも、あべ川3色セット・550円、わらび餅セッ ト・550円などというメニューもある。  観光雑誌というのは、基本的にお店からお金をもらって、作られていると思ったほ うがいいよ。昭文社のように、独自に調べたデータだけを載せるというのは、珍しい。 おっと、『桃太郎電鉄』も独自に食べた名産品ばっかだよ。食べ過ぎだけど、わっは っはっは。    午前11時30分。「イノダコーヒ四条店」へ。  コーヒー飲みながら、『桃太郎大全集(仮)』のアイデア出し。  ようやく、昨夜、10月31日の新幹線のなかで出たアイデアの書き写しが完了し た。きょうから新しいアイデア出しだ。  さっきの「もちつき屋」でも、ちょっとアイデア出しを始めたんだけど、どーーー ん!と、壁が前に立ちはだかるように、アイデアが出ない。  きょうは雨だし、湿気が多いから、調子が悪いんだろうなあと思いながら、「イノ ダコーヒ四条店」に入り、座って、ノートを広げたとたん、ぶぼっ!と、アイデアが 出るから、不思議だ。  何でこうも「イノダコーヒ」だと、アイデアが出るのだろうか。  たぶん、2〜3回たまたま、いいアイデアが出たのに気づいてからは、自己暗示に かかっているだけなのだろうが、とにかくアイデアが出る。  私のアイデアが出る場所ベスト5。     1位・新幹線のなか。     2位・表参道「ロイヤルホスト」     3位・京都「イノダコーヒ」     4位・自宅の風呂。     5位・土居ちゃん(土居孝幸)  5位の土居ちゃんは、場所じゃないな。土居ちゃんと話しているときに、画期的な アイデアが出ることが多い、もともと桃太郎シリーズは、土居ちゃんの家に遊びに行 ったときに、電撃的にひらめいたやつだからね。  アイデアが出る相手、出ない相手というものはある。  誰だ? 「あ〜、アイデア出ないほうの相手は、ボクだあ!」と嘆いているやつは? 放送作家の福ちゃん(福本岳史)か!?  正解だよ〜! わっはっはっは!  午後1時。プラッツ近鉄5Fの本屋さんで、資料を探す。  資料になるものが見つからず、趣味のほうの本ばかり買ってしまった。「イノダコ ーヒ四条店」でもたくさんアイデアが出たから、本買っても読むヒマが無いぞ〜!  困ったなあ。  そういえば、本屋さんといえば、この「旭屋書店」さんは、京都でいちばん大きい 本屋さんだ。でも何で本屋さんって、スーパーやコンビニにあるような、プラスチッ クの買い物かごを置いていないのだろうか? 私とか嫁のように、一度に10冊以上 買うお客さんにとっては、買い物かごが無いのは、不便である。  私のように買わない人でも、買い物かごを埋め尽くしたいという心理で、売り上げ は、少なくとも1割以上増えると思うのだが。  午後2時。伊勢丹で「はつだ」の特選和牛弁当を買って、マンションに戻る。雨が ますます激しくなってきたので、ろう城態勢だ。  きょう晴れたら、広島までお好み焼きを食べに行こうと思ってたのだ。  時刻表調べたら、京都から広島まで、新幹線のぞみ号で、わずか1時間30分なん だよ。こんなに短かったっけ?というような時間だ。  以前住んでいた杉並区上井草から、1時間30分といえば、東京駅である。おいお いだ!  近いうちに、お昼ご飯に、広島のお好み焼きを食べに行くという馬鹿げたことをや ってみたいものだ。  さて、『桃太郎大全集(仮)』の仕様書作り。  粛々と、VAIOをカタカタ言わせる。  静かな部屋に、TVの音だけが響く。  私はいつも仕事中も、TVをつけっ放しにしている。  昔、放送作家をやっていた頃からの癖だ。  そのTVから、「ふえ〜! ふえ〜!」と、『桃太郎大全集(仮)』の敵キャラに つかえそうな擬音が聞こえてくる。何じゃあ、それは?と思って見てみると、「府営! 府営!」と言っているのであった。  ここは、関西地方であった。    午後7時。「はつだ」の特選和牛弁当を食べる。  冷めてると、やっぱり味が落ちるなあ、などと思いながら、ぺろりとたいらげてし まった。自分でも、その速さに驚く。  食後も、『桃太郎大全集(仮)』の仕様書作り。  2日続けて、ぶっ通しで仕事ばかりしてると、さすがに煮詰まってくる。しかも雨 に閉じ込められて、ずっと家の中は、つらい。  明日は、東京から家族が来る。  京都駅まで迎えに行くから、京都駅に着いたら、いつもの新幹線側のほうに来てね! と、伝言。便利だな、この日記。    夜になったら、またアイデア出しにでかけるかな?
 

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