10月25日(水)

 鼻がずびずび、風邪の一歩手前のまま連日踏み止まっているのは、もはや芸術的です
なあ。はあ、ずびずび…!

 千葉すずサンが、25歳の若さで、引退だそうだ。
 最後まで、シドニーオリンピックが終了するまで、引退を発表しないとは、なんて日
本的な律儀さなんだろう。森総理も、千葉すずサンに、国民栄誉賞をあげれば、拍手喝
采を浴びたのに。
 田村亮子選手に、総理大臣奨励賞とかいうわけのわからないものをあげて、高橋尚子
選手の穴埋めをするとは、相変わらず往生際の悪い人だ。北朝鮮問題の失言も絶好調の
ようだし。

 午前11時30分。嫁と、三越デパート2Fの喫茶店「Hills(ヒルズ)」でランチ。
 カジキマグロと海老のソテー、嫁はビーフカツレツ。
 両方とも、しっかりした味で、美味しい。  このお店、ちょうど銀座4丁目の交差点に向って突き出ているので、人の往来も上か ら見ることができて、心地よい。日産ビル、三愛ビルが目の前に広がる景色は、なかな か壮観。待ち合わせの穴場に持ってこいだ。三越デパートといえば、誰でもわかるし。 いいお店をみつけたぞ。  午後1時。きょうも築地のハドソンへ。もはや出勤に近いぞ。  きょうは、VAIO持参で、私もやる気まんまんだぞ〜〜〜!  昨日に続き、『桃太郎まつり』のテストプレイ。  しかし、テストロムが作動しなくて、ゲーム・ディレクターの国政修くんが、頭を抱 え込む。何回もインストールするが、画面は真っ白なまま。 「う〜む。おかしいなあ…」  その間、ちょうどハドソンの名誉会長・工藤裕司さんからお声がかかったので、工藤 さんの部屋に遊びに行く。  先日のCM撮影のお礼など言いながら、東京の美味しいおそば屋さんの話などで盛り 上がってしまう。グルメの話は、してもしても、したりないなあ。  器についても話も。私と嫁は、工藤さんからは焼き物のおもしろさを教えてもらった。 食に器はかかせない。  若い頃、絶対陶器など好きになる大人になんかなりたくないと思っていたのになあ。 青臭い考え方って、どうしてこうも、40台を越えると、ドミノ倒しのように、ひっく り返ってしまうんだろうねえ。  午後3時。会議室に戻る。ようやく『桃太郎まつり』のテストロムが動いて、テスト プレイが可能になった。  きょうのメンバーは、柴尾英令くん、放送作家の福本岳史くん、たまにハドソン桃太 郎事業部の石崎仁英くんが、出たり入ったりと、ちょっと淋しい。  その代わりきょうは、テストプレイヤーとして、私が毎月通ってる原宿の美容室「ヘ アストリート」から、ヘアメイク・アシスタントの地上奈々恵(ちがみ・ななえ)チャ ンに来てもらった。    テストロムが治ってよかった。治らなければ、わざわざ休日をこのテストプレイに当 ててくれた地上奈々恵チャンは何のために来たか、わからなところだった。  テストプレイ開始。  おや? 何だか昨日のテストプレイヤーと雰囲気が違うぞ。  いつも明るい地上奈々恵チャンが、窮に真剣な目つきになって、食い入るように画面 を凝視して、手馴れた手つきで、すいすいイベントをクリアしていく。 「お、お、女勝負師だ!」
 これは昨日のテストプレイヤーがやっていたゲームと、おなじゲームか?  金魚すくいも、カチカチ山大レースも初めてなのに、ほいほいクリアしていく。    昨日のテストプレイヤーは一体誰だ!? 「ふーーーーーくーーーーーもーーーーーーとーーーーー!」  福ちゃんかーーーい!  下手だと思ってはいたけど、これほどまでに下手だったとは。 「い、いや! さくまサン! あのですね! 地上(ちがみ)さんはむちゃくちゃ、 ゲーム上手すぎますよ〜!」 「上手いのは見てればわかるが、福ちゃんの下手さかげんも際立つぞ!」  まあ、下手な人のデータは大切なのだが、下手すぎて「ヌルゲー」と言われる危険 性が出てきた。もう少しいろんな人に、やってもらって、近似値を取らないといけな いようだ。  アリtoキリギリスの石井正則くんの奥さん・石井愛(かな)さんに続き、地上奈 々恵(ちがみ・ななえ)チャンもまた、ちょっと上手すぎたのは、たしか。  こういうときは、井沢どんすけがテストプレイするといいんだけどなあ。最近あい つどうしてるんだろう? この日記は読んでるはずだ。もしテストプレイできるよう なら、電話くれよー! 井沢どんすけ好みのゲームだぞ〜〜〜! 金曜日来れないか あ? AV女優も来るぞ〜(嘘)!  午後6時。まったく地上奈々恵チャンは、休むことなく、テストプレイしてくれた のはいいんだけど、私と福ちゃんのお腹がすいてしまった。 「頼む〜! 地上奈々恵チャン! 飯を食いに行こうよ〜〜〜!」  情けないゲーム作家である。  自分のゲームを熱心にやってくれている人のプレイを中断させて、ご飯食いに行こ うというのだから。  午後6時30分。おなじみハドソンの近くの安くて美味しいお寿司屋さん「太老樹 (たろうじゅ)」に行く。嫁、柴尾英令くん、私、地上奈々恵チャン、福ちゃん、国 政修くん。
 昨日、うっかり土居ちゃん(土居孝幸)と、福ちゃんと「内儀屋(かみや)」で食 べ過ぎたようで、体重増えまくりなので、必死にお寿司の量を減らす。その横で、 ♪すいすい、福ちゃんがお寿司を、まるでビスケットでも食べるように、食べている!   左のほうの人が「さんま寿司、ください!」といえば、「ボクも!」。  右のほうの人が「穴子、ください!」といえば、「あ、ボクも!」と、三三七拍子 のように、チャッチャッと軽快に食べる。 「いや、ほんとに最近、本当に体重のことで、嫁に叱られてるんですから…」 「だったら、食うなよ!」 「食わなきゃいいじゃないか!」 「そんだけ食って、ダイエットも何もない!」 「で、で、でも…」  デブには、忍耐力がない。  午後7時。ハドソンの会議室に戻って、再び地上奈々恵が『桃太郎まつり』をテス トプレイ。  気になるセリフは、私がVAIOにタイピングして、それを目の前にいる国政修く んのメビウスに電送する。一昔前なら、信じられない光景である。14年前のファミ コン版『桃太郎伝説』は、ワープロひとつかわずに、メッセージを書き上げている。  PCエンジン版『桃太郎伝説2』で初めて、ワープロをつかったが、120万円も するワープロが1台だけで、みんなで交代でつかったものだ。  世の中の進歩は早いものだ。  午後8時。地上奈々恵チャンのテストプレイ速度はまったく衰えることを知らない。 何度も「地上奈々恵チャン、疲れたら休んでいいんだからねえ!」と言っているのだ が、ちっとも休まない。  ついに! 「ち、地上(ちがみ)チャン! ゴメン! 私の老眼のほうが持たない!」  画面を凝視していると、目がしばしばして、眼精疲労になってしまうのだ。なんと も情けないことに、私のせいで、テストプレイを中止してもらう。ああ!   でも首がもう、パンパンに張ってしまっているのだよ。  また11月の末くらいに、テストプレイを頼んで、お引取り願う。  十分楽しんでもらえたようだし、見ていて、問題点がどんどん減っていく。  まだ1ヶ所だけ、大問題の場所があるんだけど、みんなが感じているのはおなじ方 向なので、ほどなく治ることだろう。  いいゲームでっせ! 『桃太郎まつり』!  CG全盛の時代に、ホッとするような画面だよ!  午後10時。帰宅。  あれだけ、きょうは間食もせずに、食事の量を減らしたのに、うちの娘が「おいし いプリンを買ってきたから、食べない?」というではないか。娘がわざわざ小遣いで 買ってくるぐらいだ、美味しくないわけがない。  ゴール直前で、落馬するように、プリンをぺろり!とたいらげてしまう。  あ〜〜〜、体重計に乗りたくなーーーい!  明日も、ハドソンに出勤だ!
 

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