9月20日(水)


 ピン〜〜〜チ! 『ドラゴンクエストVII』!
 暗闇の洞窟のなかを、斜めキーで進む場面があって、踏み外すと、下に落ちてしま
う。私はこの斜めキーが昔から苦手で、いまは左手が不自由だから、『ドラクエ』の
町の井戸を覗き込むのも下手な状況なのだ。

 それでもなんとか、一歩ずつ動かしてクリア。
 絶対無理という作りにしていないところが、さすが堀井くんだなあ。
『ドラクエ』シリーズの素晴らしさに、このアクション性を持ち込まない作り方があ
る。RPGのファンというのは、アクションゲームが苦手な人が多い。むしろアクシ
ョン性が無いからこそ、RPGをやるのだ。
 なのに近年、アクション性の強いRPGが多い。
『ゼルダの伝説』は、アクションRPGと銘打っているからいい。それどころか『ゼ
ルダ』シリーズは、後ろで見ているだけでも楽しい。
 テキスト形式のRPGの場合、アクション入りの謎解きをひとつ入れたら、お客さ
んはもうその先に一歩も進めないのである。

 私も堀井君に習って、RPGの場合、絶対アクション性の謎解きは入れないし、
『桃太郎電鉄』シリーズでも、おまけゲーム以外の部分には、絶対入れない。

 しかし、かつていっしょに仕事したスタッフのなかには、アクション性のある謎解
きを入れたがる人間が極めて多かった。気がつくと、反対しているのは私だけになっ
ている。

 同様に、謎解きの会議のとき、「これならわかるまい!」と、得意満面で謎解きの
アイデアをいうスタッフも多かった。
 堀井くんが、「これならわかってもらえるだろうか?」と思って、謎解きを考えて
いるのとは、何万光年もの差があると思う。

 今回の『ドラゴンクエストVII』にも、戦闘に入るときの読み込みの早さとか、プ
レイしているうちに、そのありがたみを忘れてしまような配慮が、無数にちりばめ
られている。こういう部分を探してくれる業界人が少ないのは、ゲームを作る側の
人間には、ちょっと悲しい。

 午前11時30分。青山骨董通りの「スモーキー」へ行く。
 インデックスの樋口由美子さん、南澤新樹くん、放送作家の福本岳史くんと待ち
合わせ。サーロインソテー・スモーキー特製和風ごまソースというランチを食べる。
青山でも老舗の料理屋さんだけあって、ごま風味がくどくなくて、お肉の美味しさ
が際立つ逸品である。
 嫁はこのお店の名物である、ソーセージ料理。
 なかなかいい味だったようだ。
インデックスの南澤くんと樋口さん
 午後12時。場所を骨董通り入り口あたりの喫茶店「インディビティ」に移して、 iモード・ゲーム『さくま式西遊記』の打ち合わせ。  テストロムが完成に近い形なので、ひとつひとつの問題点を事細かに論議する。 「三蔵法師達が…」がいいのか「三蔵法師たちが…」がいいのか、はたまた「三蔵 法師が…」と、縮めたほうがいいのかといった、本当に細かい話。  あとテストプレイ中、非常に気になった「戦闘画面」が、最新ロムでは、かなり いいデザインになっていたので、ひと安心。どうせならもっといいデザインになら ないものかと、みんなでああでもない、こうでもないと腕組み。でも顔は笑っている。  途中で、嫁が銀行に行くので、退席。  なおも、4人で延々、iモード・ゲーム『さくま式西遊記』の打ち合わせ。  かなり長時間になったので、樋口由美子さんが「何か、飲み物お代わりしませんか?」 という提案に悩む。  最初このお店に入ったとき、メニュー写真にあったグラスに入ったアイスクリーム が気になっていたのだ。デブの好物・アイスクリームだからね。福ちゃんはもちろん このアイスクリームを注文した。デブの鑑だ。  私は必死に悩んだあげくに、コーヒーにしたのだが、樋口さんに「お代わりを」と 言われた瞬間、ざっぱーーーん!と、喉がアイスクリームを欲してしまった。   しかも妙に嫁がいないと、つい甘い物を食べてしまうという、いたずらっ子なギャ グがすっかりお約束になっている。別に嫁は目の前で甘い物を食べても、怒らないの だが。妙に嫁がいないときに、甘い物を食べてしまうという行為は、罪悪感があって、 楽しいのだ。 「こんな悪さをしちゃってんだよー!」  しかして、クリスピーナッツチョコレートアイスクリームという、マージャン用語 なら、親の満貫のような名前のアイスクリームを食べる! 甘い! 実に甘い! ち ょっと甘すぎ!  午後4時。表参道のオープンカフェ「マスターワークス」で、福ちゃんとほかのお 仕事の打ち合わせ。  ところが、『さくま式西遊記』の戦闘計算式で、おもしろいアイデアを福ちゃんが 浮かんでしまった。う〜ん。この締め切りが近い段階で変更がきくのだろうか?   むむむ! 実におもしろいアイデアだけに、もったいない。  もし変更できたら、ここでどこだったか、教えるね。ただ6月16日からの配信開 始に間に合わせないといけないんでねえ! どうなるかな? 福ちゃん、泣きながら、 インデックスさんを説得して来なさい! 何なら土下座しなさい。福ちゃんが玄関で 土下座すると、完全に通路を塞ぐから、効果的だぞ! …とすでに、話題は福ちゃん のデブ話になってしまった。  午後5時30分。福ちゃんには「私はこれからメタルスライムに会いに行くから!」 と言って、別れる。ひさびさに表参道から、家まで歩いて帰ったら、へとへと。夏の 暑い時期に歩いていないんで、もう体力が落ちている。いかんなあ。  午後6時30分。世間は、サッカーの日本対ブラジルに熱狂しているというのに、 私と嫁は西麻布の定食屋さん「たぬき」へ行く。  みんなサッカー見てるから、店内はがらがらかと思ったけど、最初のうちお客さん 少なかったものの、7時を過ぎたら、すっかり満員。昔、人気テレビ番組の時間、銭 湯がガラガラになったみたいなエピソードって、もう無いのかな。趣味の多様化時代 なんだろな。
 午後7時。帰宅。  真っ先に、フジテレビのサッカーをつけずに、テレビ神奈川の横浜ベイスターズ対 中日の途中経過を先に見てしまうところが、非国民。  4対1でリードしている。よしよし。  でも、さすがにすぐに、日本対ブラジル戦。  観客席に、真っ赤に髪を染めたはずの野安ゆきおクンがいるんだろうなあとか思い ながら、観戦。  日記を読んでいる人は、私がまったくサッカーの話をしないので、サッカー嫌いな のだと思っている人が多いらしい。ところが中学生の頃、2年間サッカー部だったの である。しかも「オーバーヘッドキックの佐久間」と異名をとった、レフトウィング なのである。驚いた?  ただサッカー部だったので、サッカーは見るより、自分がプレイするほうがおもし ろすぎるのだ。  どうも見るだけだと、2時間で1点取ったほうが勝ちというパターンが多いのが、 気になるのだ。現在も1対0で、負けているけど、日本が1シュートで、2点取って 逆転できないシステムがどうも、ダイナミズムを感じないのだ。まず、1対1の同点 になってからというのが、もどかしい。  コーナーキックから、1クッションで入ったら、2点とかいうルールになれば、残 り時間あと5分といわれても、手に汗握ることができると思うのだが。直接フリーキ ックが3点だったら、もっと盛り上がると思わない?  しかも現在負けているのに、南アフリカがチェコに負けたせいで、決勝トーナメン トに出場決定が試合中に決まるというのも、男らしくないなあ。  ここで、1対0のまま、敗戦。  中田英寿のいない穴は大きかったねえ。  まあ、いい試合ではあった。  昔の日本のサッカーのレベルを知ってる私には、いまの日本チームは夢のようなチ ームだ。  速攻、テレビ神奈川に戻る。  おお! 横浜ベイスターズが12対1で勝ってるではないか! こんな素晴らしい 試合を、サッカーの試合の日にやらなくたっていいじゃないか! あほんだらな球団 じゃのー。そこが好きなんだけどね。  佐伯なんか、2打席連続ホームラン打つもんなあ。  あ〜〜〜、6回裏で、15対1だよ。  明日のスポーツ紙には、また打撃成績だけで、試合経過の文章は、30文字程度な んだろうなあ。30文字じゃ、国語の「次の文章の大意を述べなさい」ではないか!   さ〜て、今夜も『ドラゴンクエストVII』をプレイしますかね。  そでではまだ明日(あぢだ)。
 

-(c)2000/SAKUMA-