9月7日(木) ふわわわわわ…。ふわ〜〜い…。 眠いよ〜。やっぱり昨夜も『ドラゴンクエストVII』やっちまったよ〜。 ふわわわわわ…。むにゃむにゃ…。 さすがにきょうはやめようかな…などと言いながら、気がついたらPSoneのスイッチを ぶちっ! 始まっちまったよ〜。 「すぎやまこういち先生、おはようございます…」。ふわわ…。 オープニング曲を聴くごとに、すぎやまこういち先生にご挨拶…。 ふわわわ…。むにゃむにゃ…。 ついにプレイ時間は、70時間を突破。 あと130時間くらいだろなあ…。ふひょ〜…。 メモ取ったり、ほかのアイデア考えたり、経験値稼ぎやめて、そろそろ早解きに邁進 しようかな? あ〜、とうとうメタルスライムが出てきちゃったよ〜。これが出てくるとまた先に進 めなくなっちゃうんだよなあ。早く先が見たいけど、もっとメタルスライムが見たい! 何でメタル系の敵キャラのときだけ、コントローラをそお〜っと、そお〜っと握って、 そお〜っと、そお〜っと、ボタンを押すんだろうねえ!? 午前11時30分。嫁と青山「アンデルセン」で食事。 地鶏とキノコ・パスタのスパゲティにコーヒー。 味が濃いけど、身体の温まる美味しい味だ。美味しすぎて、舌をやけどした。 午後1時。築地の「ハドソン」へ。 早く着いてしまったので、ハドソン桃太郎事業部の石崎仁英くん、武田学くんに雑談 の相手をしてもらう。 午後2時。ハドソン桃太郎事業部の梶野竜太郎くん、ゲーム・ディレクターの国政修 くんが到着、『レガイア伝説』の柴尾英令くんが来る。 きょうはこのメンバーで会議。会議風景と柴尾英令くんのカバー付きVAIO これまでずっと、柴尾英令くんには、欠席受注、欠席裁判を繰り返していたが、いよ いよ本日より、桃太郎チーム入りだ。まず桃太郎チームの平均体重がまた上がってしま った。 打ち合わせに入る前に、私が梶野竜太郎くんに折り入って話があると言い出す。しか も…。 「あのさあ、私自身は、梶野くんに言いたくない話なんだけど、梶野くんにとってはと ってもいい話なんだけどさあ…」 梶野竜太郎きんの目がきらりと光る。 「こういうジャンルで、こういう構成で、こういう仕掛けのゲームなら、作ってもいい と、思ってしまったんだけど…」 梶野竜太郎くんが「にや〜〜〜!」と喜ぶ! もちろん今後作るゲームについての話だから、はっきりとは書けないんだけれど、何 年も前からずっと梶野竜太郎くんからリクエストされていたゲームを、条件付きなら作 ってもいいなあと、つい最近思ってしまったのだ、私は。 何だかけっきょく梶野竜太郎くんにはめられたような感じだ。 しかも国政修くん、柴尾英令くんの加入で、可能になった話なので、うまいこと踊ら されているような気がする。 いいのよ、作家なんて、気持ちよくだましてくれれば、よく働く動物なんだから! その後、雑談に入るが、雑談中に梶野竜太郎くんが、確信の「にや〜〜〜!」という 顔をしたのを私は見逃さなかった! さっきの私の折り入っての話を思い出し確信笑い をしていたのだ。 「やめてよ、梶野くんのその笑い方!」 「いやあ、さくまサンの見えないところで、右手を引いて、ガッツポーズしてましたよ!」 「は〜〜〜っはっはっはっは!」 みんなで大爆笑! けっきょく、来年以降作るゲームのラインアップが正式に決まった。さすがに5年間 で11作品は回避できそうだ。粗製濫造はいかんですたい! いい物作らないといかん ですよ! ゲーム業界が沈滞しているのではなく、ゲームを作る人間たちが沈滞しているだけな んだよ、やっぱり。『ドラゴンクエストVII』が320万本を売り尽くし、400万本 が見えて来たということは、お客さんは少なくとも、400万人以上いるってことだ。 その1割の40万本のゲームを作る義務が、ゲーム作家があると思うのだ。おっ! 珍しく作家魂を熱く語り始めようとしているぞ。恥ずかしいから、このくらいにしよう! 笑いで誤魔化そう! 「柴尾くんががんばって、私に鎌倉の海の見える家を買ってくれ!」 「はっはっは! わかりやすい発注の仕方ですね!」 午後5時。みなさんにはちょっと待ってもらっていて、国政修くんと『桃太郎まつり』 のメッセージの手直しをする。 来年の3月21日の発売日に、同時発売が間に合うかどうかの瀬戸際なので、実際の 画面を見て、その場で私が手書きで直したものを、国政修くんが、コンピュータに移し 変えて、札幌に送る。 ほとんどジャッキー・チェンの初期の映画作りみたいだ。 でも『桃太郎まつり』はおもしろいよ、ほんと。 絵がかわいいんだあ。 「上手いねえ、この絵描いた人だれなの?」と国政修くんに聞く。 「角谷みかサンという人です!」 「ハドソンの人?」 「そうです!」 「札幌にはもうずっと行っていないから、新しい人は知らないな…ん?ん? 角谷みか サン? みかサン? ひょっとして旧姓は、佐々木みかチャンって言わなかった?」 「ん〜? 旧姓まではわからないですねえ」 「じゃあ、口癖で『なんすか、なんすか?』って言わない?」 「あ、言う、言う!」 「じゃあ、佐々木みかチャンだあ!」 な〜んだ、絵がいいわけだ! 14年前のファミコン版『桃太郎伝説』、PCエンジ ン版『桃太郎伝説2』のときに絵を描いてくれた、桃太郎シリーズでいちばん絵の上手 い子だあ! これはますますうれしくなってしまったぞ〜! もともと私は佐々木という名前に弱い! 横浜ベイスターズ・佐々木主浩(ささき・かずひろ)様の佐々木である。 話がそれた。 とにかく佐々木みかチャンは、小さい駒キャラを描く天才なのだ。 ゲームボーイ・アドバンスみたいなハードの絵に最適だよ。 うひょっ! これは『桃太郎まつり』、おもしろいことになってきたぞ! 午後7時。嫁と柴尾英令くんと、私で、西麻布の割烹料理屋「内儀屋(かみや)」へ 行く。昨日の青山「穂積」に続き、お店の人にまたまた「おひさしぶりです!」と言わ れてしまう。こういうところから、私がこの夏、京都市民だったことがよくわかる。 ひさびさの「内儀屋(かみや)」の味は美味しいなあ。 お店の人には申し訳ないけど、こういう贅沢に美味しいお店は、当番間隔を最低3ヶ 月は開けたほうが、身体のほうが、ひさびさの感動が倍増するようだ。 帰り際に、柴尾英令くんが、「まだ何もしていないのに、ごちそうになってすみませ ん!」というから、「甘いぞ! 柴尾くん! 今後は君の右腕で返してもらったあげく、 鎌倉の家の一部屋や、二部屋分くらい稼いでもらわないと!」と言ってあげる。 柴尾英令くんは、笑いながら「悪魔だ〜!」。 柴尾英令くん、私は悪魔ではない、「さくま」だ! ウヒャヒャ…。 午後9時。本当は夜遅くまで柴尾英令くんと話していたかったんだけど、『ドラゴン クエストVII』帰宅! そんなわけで、連日の尻切れとんぼをお許しあれ! 夜と、早朝は、『ドラゴンクエストVII』タイムでござる! それではまた明日〜!
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