7月22日(土) 昨日と打って変わって、あっけないほど静かな1日。 しかし外は、映画の撮影用のレフ板を当てられたように、まぶしい。昔は このくらいの気温になると、アスファルトが溶け出したものだが、最近の道 路はびくともしない。 びくともしない分だけ、暑さも通さないような気がする。 午前11時30分。嫁と「フレッシュバーガー」で、チーズバーガーにカ フェラテ。 今年最高の暑さらしい、東京は。34度? この間の京都は36度。やっ ぱり京都のほうが暑い。 「フレッシュネスバーガー」から自宅まで、わずか500メートルくらい だと思う。でも暑くて耐えられない。デブの悲しい体質だ。嫁が話し掛けて くる言葉に、1テンポも2テンポも遅れて返事する。 あぢぢ…。あぢぢ…。あぢぢ…。 じりじり…。じりじり…。じりじり…。 あぢぢ…。あぢぢ…。あぢぢ…。 じりじり…。じりじり…。じりじり…。 ダメだ。自宅まであと200メートル以内なのに、身体が持たない。思わ ず「スターバックス・コーヒー」に寄ってしまう。 「フレッシュネスバーガー」は全然お客さんがいなかったけど、「スターバ ックス・コーヒー」は超満員。そのせいで、クーラーが効いていない。クー ラーを浴びたくて、寄ったのに〜! ハンドタオルで汗をぬぐいながら、キャラメル・マキアートを飲む。キャ ラメル・マキアートにアイスは無いそうだ。 午後1時。自宅に戻り、部屋の整理。 読み終えた本、使い終わった古いゲームの仕様書などを、分けていく。話 題作『「捨てる」技術』を読んだから、とにかく捨てる方向で、てきぱき。 捨てるっていう行為は、けっこう快感だったりする。 午後1時30分。大阪から最古のさくまにあ・戸田圭祐が到着。 「暑いでんなあ!」と言いながら、涼しい顔だ。暑さにも寒さにも強い男だ な。 しばしも休まず、作業に取り掛かる。 ゲーム部屋に持って行ってほしい本などを、戸田圭祐が来る前に、廊下に 積み上げておいたのだが、「これを運べばええんですね! ほな、行ってき まっさあ!」と言いながら、さっさと台車を巧みに動かして、何度も往復す る。 私なら、荷物を運ばなくても、倒れられる暑さである。 さすが学生時代、ワンダーフォーゲル部で鍛えた身体である。 1時間もしないうちに、戸田圭祐はすべて運び終えてしまう。 私は何ヶ月もかかって、読み終えた本やビデオをダンボールに、ためこん だというのに。 荷物運びが終了したので、戸田圭祐に私の部屋の片づけを手伝ってもらう。 私は最後の神秘性を守るために、この寝室兼仕事部屋だけは、絶対どんな 雑誌が取材に来ても、公開しない。 こんな日記を毎日書いていたら、プライバシーなんてものが皆無になって しまう。ほんの少しの神秘性を残すのは、作家の義務だと思っている。 美人の嫁の写真を公開しないのも、そのせいである。 だからコンピュータといっしょに写っている写真があったとしたら、それ は嫁の机に私が座っているだけである。 私は、寝室兼仕事部屋を人には絶対見せない。 家族のほかは、戸田圭祐だけである。などと書くと、戸田圭祐が腰を浮か せて歓喜してしまう。 良くいえば、『関が原』のときの鳥居元忠のように、徳川家最高の忠義の 男。悪くいえば、問題外の男だから、出入りを許されているのだろう。さて 正解はどっち? 午後5時。すべての作業が終了してしまう。きょう、明日の2日で終わる だろうかと心配していたのに、早い! 私の部屋のすべてのゴミも片付き、地面に置かれた本など、1冊もなくな る。部屋が急に広くなった気がする。 きょう1日、何の波乱もトラブルも発生しないので、拍子抜け。 午後6時。グルメ・バカ娘が林間学校から帰って来る。さかんにホテルの 食事がまずかったと怒っている。おまえの味覚で、林間学校の食事を評価す るでない。 とにかく美味しい物を食べに行きたいという。 そりゃそうだろ、4日間も美味しい物を食べていないなんてグルメ・バカ 娘にとっては入院中とおなじことだろう。 午後7時。家族3人と戸田圭祐で、麻布十番の「EDOYA(えどや)」に行 く。「EDOYA(えどや)」はグルメ・バカ娘の評価が高い。 グルメ・バカ娘と嫁はビーフバター焼き、私はメンチカツ、戸田圭祐はロ ールキャベツ。 ニッポンの洋食屋さんを代表するこのお店の料理は、まずきょうはちょっ と味が悪かったなあといったブレがまったくない。 安心、最高の味だ。 午後8時。帰宅。『オールスター戦』をちょこっと見る。横浜ベイスター ズのローズがホームランを打ったぞ! 満足、満足。 今夜は読みかけの本をいくつか読み終える予定。 ハドソンの石崎仁英くんから頼まれていた仕事は終了。 拍子抜けするほど、平静な1日であった。 江ノ島は、まだ前のお客さんが買いたがっているようなので、まだ結論 が出ず。 まあ、どうしてもというわけでもないので、結果を楽しく待つ。
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