7月17日(月) ♪コンチキチン、コンチキチン…。 きょうは「祇園祭」。 京都最大のお祭りというより、日本を代表するお祭り。 昨日の宵山も40万人以上の人出だったそうだ。 午前9時30分。「祇園祭」の長刀鉾を先頭に、巡行が始まる。 「エンヤコラヤー!」の声とともに、四条烏丸を出発した山鉾は、四条通りを 練り歩く。 2年前、この巡行を朝から見て、その人出の多さと、山鉾(山車みたいなや つね)が来るまで待つ退屈さと、むせかえる暑さに懲りた私は、KBS京都の スイッチをつける。 京都のローカルTV局だ。 ここでどの鉾もどアップで見ることができる。 沿道で見ると、1ヶ所だけで見るってことになってしまうからねえ。1ヶ所 というのは、F1レースを1ヶ所だけで見るようで、なんかお祭りの一部分し か味わえない気がしたのだ。 もちろん、ボクシングがいくらTVで見ても、その臨場感がわからないよう に、あの暑さと人ごみを経験しないと、「祇園祭」を味わったといえないのだ ろうが。 ま、2年前に堪能したから、もういいでしょ? 京都まで来ていて、生で見ないとは、邪道!と言いたければ、言えばいい! 全国3000万デブ人間なら、熱い炎天下でじっと待つぐらいなら、石抱き の刑のほうが楽チンだということがわかってもらえると思う。 デブは、汗っかきのくせして、汗をかくのが大嫌いである。だったら痩せろ! 午後10時過ぎ。四条河原町交差点で、青竹の上に乗せた車輪を滑らせて 鉾(ほこ)の向きを変える豪快な「辻回し」も、やっぱりTVの中継が特等 席だ。 「辻回し」も、2〜30枚の青竹を地面に敷いて、水をかける。 その上を、鉾の車輪を乗せて、掛け声とともに、30度ほど滑らせる。 私なんかせっかちだから、あらかじめ地面いっぱいに青竹を敷き詰めてお いて、さっさと引き回せばいいと思うのが、それじゃ風情が無いんだろうな あ。 ちょっと動かしては、青竹を回収して、また青竹を敷いてということを繰 り返す。3回で、交差点を左折できたら、上出来らしい。 午前10時30分。いいかげんお腹が減ったので、でかけようとしたら、 すぎやまこういち先生の奥様から電話。 「プティ・ポワン」の北岡さんがNHKに出演した番組が、いまから始まる との連絡だ。それは見なければ! しかし、この時間に見たのは大失敗である。 『食彩人』という番組で、北岡さんが次々に、アボガドのスープ、スフレオ ムレツ、ハード・ボーのカツカレーなどを作っている様が放映されるものだ から、家族3人のお腹は、きゅるるるる! きゅるるる! う〜、たまらん。 すきっ腹に北岡さんの料理のアップはこたえる。 この日記を深夜に読んで苦しんでいる人の気持ちが、やっとわかったよ! 午前11時。たまらずマンションを飛び出し、マンションの裏の道にある、 うどん屋さん「うえだ」に行く。先週、宮路一昭くん、福ちゃんと行ったお 店だ。 あのとき、ふたりとも量が少なかったと嘆いていたのを思い出し、メニュ ーを見ると、大盛りがある。よし。これにしよう。 グルメ・バカ娘がふつう盛りにしたので、デジカメで並べて撮る。 見た目は変わらないと思ったが、並べてみるとかなり違う。 宮路一昭くん、福ちゃん、次回はぜひ大盛りをどうぞ!午後12時30分。マンションに一度戻り、さらにマンションの一筋隣り の通りにある、すぎやまこういち先生ご夫妻のマンションにお邪魔する。 すぎやまこういち先生ご夫妻に、さっきTVで見ていた「プティ・ポワン」 の北岡さんご夫妻もいらっしゃる。 実はこのマンションの北側の窓からの眺望が、祇園祭の特等席なのだ。 御池通りがほぼ真下だし、4階なので、ちょうど山鉾の高さより、ちょっと 高い。 山鉾を上から見てはいけない慣わしがあるとかないとか、その辺はナイシ ョ、ナイショ。こんな絶景のビューポイントはそうそうあるもんじゃない! クーラーが効いた部屋から見る「祇園祭」は最高である。 それが証拠に、午後1時30分。先生のマンションの前の御池通りに設 置された観覧席の観客たちは、最後の鉾が通過するや、夕立にあったとき の江戸時代の人たちのように、さっさといなくなってしまった。暑さにガ マンできなくなったのだろう。 ちなみに、この観覧席。全席指定、パンフレット付きで、3100円も する。しかも抽選で、希望者が殺到する。 こっちは、100万ドルの特等席だ。 午後2時。みなさんがまだ食事をしていないというので、さっきわが家 族が食べた「うえだ」までお連れして、私はマンションに戻る。きょう東 京に帰らないといけないので、帰り支度をしないといけない。 新作『桃太郎電鉄』の仕様書のファイルをカートに詰め込んでいると、 あることに気づいた。 この1ヶ月間で、私が東京にいたのは、わずか10日間しかなかったの だ。 たしかにこのところ、ずっと京都ばかりだったからなあ。 その間に書きまくった原稿がいまこうしてファイルになって、カートに 詰め込まれる。すごい量だ。ファミコンの時代なら、この仕様書の量で、 10本ぐらいのゲームが作れたことだろう。 大容量のゲームは、あと数本で終わりにしたいな。 その分、次回作は思う存分凝ったものを作るよ! 午後4時30分。京都駅。 予定していた新幹線のぞみ号を1本早める手続き。 あとは、新幹線のなかで食べるお弁当を買いに行く。「はつだ」の特選 和牛弁当を買いたいところだが、きょうは「はつだ」の本店が月曜日はお 休みなので、売っていない。ほかのお弁当を探さないといけない。 グルメ・バカ娘に「おい、おまえの超能力で、『はつだ』の特選和牛弁 当をきょうだけ売り場に置いてくれよ!」という。 「定休日までは、変えられないよ〜!」 「そりゃ、そうだ!」 伊勢丹B2のお弁当売り場へ。 あれ? あれ? あれ? 定休日のはずの「はつだ」の特選和牛弁当が 売られているぞ! ひょっとして? 「はい、きょうは祇園祭なので、特別に!」 売り場のお姉ちゃんは、本当は目の前のグルメ星人が、超能力で作らせ たとは思わないだろうなあ。 偶然だろうが、グルメ・バカ娘の超能力は恐ろしい。 めでたく、「はつだ」の特選和牛弁当3人前、ゲットだ! 午後5時10分。のぞみ22号。京都駅を発車。 みどりの窓口で、この時間の新幹線が700系だというので、これにし たのに、来たのは、大嫌いな500系のほうだった。だまされた! しかも20列目。壁の前だ。まあ、お弁当を食べるには広くてよかった けどね。 午後7時28分。東京駅着。 ひさしぶりの東京だあ、と思ったが、本当にひさしぶりだった。 なんと13日ぶりだったのだ。長いなあ。 まるで参勤交代してる大名みたいだ。 午後8時。自宅の近所の「スターバックス・コーヒー」でラテを買って 帰る。 ひさびさの我が家だ。 うんうん。まだやっぱりこっちのほうが、我が家の気分だ。よかった、 よかった。京都のほうがよくなっちゃったら、帰るのイヤになっちゃうも んね。 そんなこと言いながら、今週も旅行が入って、来週には、また京都だっ たりする。 私はアニメ『キテレツ大百科』の旅芸人の家族かい?
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