7月14日(金)


 きょうの京都は、曇っているので、昨日のサウナ風呂状態よりはましだ。
でも十分暑い。

 午前10時30分。京都の中心地でご飯を食べると、アスファルトの地面
が暑そうなので、哲学の道の霊鑑(れいがん)寺の近くにあるカレーさん
「G」まで行く。
 ところが、1日20食限定のカレーは、午前11時30分からでないと食
べることができないという。まいったな、こりゃ。初めてのお店で、コーヒ
ー1杯で1時間粘れる豪胆な度胸は無いぞ。

「また来ます!」といって、哲学の道を銀閣寺方面に向かって歩く。
 疎水の道は何度も通っているので、たまに脇道を通ってみる。
 こぢんまりとした家が多い。
 蝉の声がサラウンドで鳴り響く。
 まだ梅雨明け宣言って、出てなかったよね。
脇道
   市内より、1〜2度温度が低い気がする。  6月の修学旅行の季節が終わったので、ほとんど人がいない。  たまにすれ違う人の大半が、外国人。  外国人は本当に京都が好きだ。  もうちょっと日本人にも、この風情を味わってほしいなあ。   「哲学の道」は、哲学者の和辻哲郎さんとか、西田幾太郎さんといった人た ちの邸宅があったことから、その名前がついたという説があるらしい。  確かにこの疎水のほとりを歩きながら、思索にふけるには、お似合いの気 がする。でも浅学非才な私にとって、哲学の道さえなかったら、西田幾太郎 さんの『善の研究』が生まれなかったのかと思うと、惜しい気がしてしまっ た。ははは。不謹慎かな? 『善の研究』は、学生時代に読んで、まったくちんぷんかんで、頭を痛めた 思い出がある。哲学者は人の頭まで痛くするから嫌いだ。自分の頭だけ痛め るにとどめてほしい。  ましてや、小難しい言い回しを広めるから、世間にとって本当に迷惑だと 思う…とかなんとかいって置きながら、50歳を過ぎたら、「人間は哲学を 極めねばいかんよ〜!」とか言いふらしているかもしれない。  人間、そんなもんだ。  たまに20年前に書いた私の原稿を今でも覚えていて、「昔と言ってるこ とが違う」と文句をいってくる人もいるが、大きなお世話である。誰が生涯 おなじことを言い続けることができる? できたとしたら、それはよほど 進歩が無かった証明ではないか。    それにしても、石畳の道は、私の足にはまだつらいようだ。  人間というのは、石畳を踏んだ瞬間、その石の形状を脳が察知して、足の 裏でその衝撃を受け止めろ!と、指示を出して、足の裏の角度を微妙に調節 しているんだね。  不自由な私の足は、その石畳の石の傾斜を、脳が指示を出しても動かない 下敷きのような面で、もろに受け止めているから、足首がグキッとなってし まう。  疎水脇の道を、身体をぐらぐら揺らせながら、歩く様は異様に思った人も いたことだろう。おまけにTシャツを後ろ前逆に着てるし。  ははは。恥ずかし〜! 人が少なくてよかった。人の家の軒先ですばやく 着替える。  ぐらぐら…。ぐらぐら…。  とうとう銀閣寺まで出てしまった。  ひい。へばった。疲れるわけだ。哲学の道は、全長1、8キロもあるそう だ。その道を縫うように住宅街なども歩いてきたから、2キロ以上は歩いて しまっている。  おまけに、長く続いた石畳だ。  疲れた。お腹も空いた。  いい場所が思いつかないので、タクシーに乗って、北野天満宮へ。    午前11時30分。大将軍商店街の「おひるや豆魂(とうこん)」へ行く。 ひさしぶりだな、このお店。
豆魂 豆魂
   2年ほど前から、行く度に、混雑するようになって、行列ができることが 多くなってしまったので、すっかり足が遠のいていた。  きょうは、ひとりもお客さんがいなかった。珍しい。  やっぱり豆腐は、冬のイメージなのかな?  ここの料理は熱いというよりも、温かくて、さっぱりしているから、夏こ そお勧めのお店なのに。  いつもの「おぼろ豆腐セット」。…といっても、このお店は。これ一品し かない。中身は毎回変わるから、おまかせ料理といったほうがいい。出来た てのおぼろ豆腐は、温かくて、口のなかでジュッと溶けるようなやわらかさ だ。  あいかわらず美味しいなあ。  美味しいけれど、このお店の従業員の鈍重な動きも、あいかわらずだなあ。 3品に、それぞれ3本のスプーンが出ないといけないのだが、1本しか出な かった。  最後の美味しい丹波の黒豆珈琲も、最近私は砂糖を入れなくなったからい いけど、砂糖が用意されない。  私が食べ終えるのを見て、すぐ次の料理が出るのはえらいが、目の前に立 たれて、じっと見ていられるのは、気分のいいものではないぞ。ましてやこ っちはひとりで来てるんだから。  午後1時。三条商店街で、買い物をしてマンションに戻り、さっそく新作 『桃太郎電鉄』の手直し作業。  手直しだからすぐ終わると思ったけど、さらに加えた新カードなどが、意 外と不都合が多くて難航する。  新しく考えたカードを、プレイヤーがつかった場合。ほかのプレイヤーが 銀河鉄道マップにいた場合どうする? ボンビラス星にいた場合どうする? といったことを、いちいち考えていかないといけないのだ。これがけっこう つらい。 「やった!」と思うと、不都合が見つかってボツになる場合がある。  ワードとATOKの相性がいいとか、悪いとかみたいなものだ。  しかし、ちっとも作業が終了しない。  117枚のカードの量は、半端じゃなかったなあ!  グラフィックなんかも増えるから、時間がかあるのも無理はない。  午後5時。バスで京都駅に向かう。  きょうは、宵々々山(よいよいよいやま)である。  変な名前と思うのも、無理は無い。  17日の「祇園祭」を中心に、前日、前日に「々」の字を当てていく。クリ スマス・イブ・イブみたいなものだ。  ちなみに、15日は宵々山(よいよいやま)。16日は宵山(よいやま) である。  四条通りはもう、お祭り気分満点。  浴衣をぎこちなく着た若い女の子たちでいっぱいだ。  ピンクに、黄色に、青の浴衣。髪の毛が金色だったりする。  どのお店の軒先でも、うちわを配っている。  風がまったく出ない京都では、いちばんよろこばれるアイテムだ。  早くも水色の制服を着たおまわりさんが何10人と出動して来て、町の警 備に当たり始めている。  四条通りは、このあと午後6時から11時までは、4日間通行止めになる そうだ。それにしてもすごい人出だ。狭い歩道から、人がこぼれている。  午後5時40分。京都駅までずいぶん時間がかかってしまった。 「宵々々山」だからだろう。  ええい、「宵々々山」という言い方が面倒だな。  午後6時53分。嫁とグルメ・バカ娘が新幹線から降りてくる。  いつものように、グルメ・バカ娘と「よ〜! ひさしぶり」。言い方が 『電波少年』のTプロデューサーみたいだったかな。 「どこ食べに行く?」 「『M』!」 「いきなり言うかよ!」 「『三嶋亭』!」  初球から大リーグボールを投げる星飛雄馬みたいなやつだな。 「きょうは、宵々々山だから、満員だと思うぞ〜!」 「3人、今から入れるって!」  この時期の三嶋亭は、いつも超満員なのに。またしてもグルメ・バカ娘の 超能力が快調にほとばしっているようだ。  午後6時30分。三条寺町の「三嶋亭」。  いつものようにオイル焼きコース。  私はひさしぶりの味なので、新鮮な気分。  やっぱりここのお肉は、王者の風格があるなあ。   いきなりグルメ・バカ娘が「ん?」っと叫ぶので、びっくりする。 「これ…」。  まさか、お肉が腐ってたとでも?  雪印牛乳のせいで、食べ物の味に対して、敏感になるぞ。 「さくちゃん…」 「このシイタケ、すごく美味しいよ! いつも出るシイタケより、全然美味 しいよ!」  またそいういうことかい! 心配して損した。  しまった。ひさしぶりなので、ほいっとご飯をお代わりしてしまったあ!  いかん。食べすぎだ。  ふ〜、お腹いっぱいでごんす!  午後7時30分。マンションに到着。  部屋が汚いことでは定評のある土居ちゃん(土居孝幸)に、「掃除したほ うがいいですよ!」と言われた部屋を、嫁に掃除してもらう。   や〜い、や〜い! 土居ちゃんには、部屋を掃除してくれる人がいないだ ろう! へっへっへ!  榎本46歳にでも、掃除してもらうことだな!  そういえば、最近えのクンの顔を見てないなって、ずっと京都にいるんだ から、見るわけないっしょ!     またたくまに部屋がきれいになっていく。  見事なもんだ。  このあとも私は新作『桃太郎電鉄』のお仕事。  明日は、怒涛のグルメ・バカ娘フィーチャーリング・ツアーを予定してい る。お見逃しなく! 大河ドラマかい?
 

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