7月13日(木) 怒涛のデブ軍団が奇矯、いや、帰京したので、やけにマンションのリビン グが広く感じる。 昨日までびっしり人で埋まっていた。 朝から、新作『桃太郎電鉄』の仕様書を手直し。 TVでは、まだ雪印乳業の続報が流れている。 ピンチのときの最初の対応が悪いと、ここまでこじれてしまうものなのか と、他人事とは思えない怖さを感じる。 私が20歳を越えるまで、実家の隣りは雪印乳業だった。近所付き合いの せいで、毎日2〜3本雪印牛乳を飲んでいた記憶がある。 だから今でも雪印牛乳に悪い印象は無い。スキーのジャンプ競技で有名に なった、にこやか顔の原田選手などのイメージなどでも、 雪印乳業の好感度は高いと思うのだが、その好感度の高さゆえに、話題が 大きくなってしまったのは、皮肉だ。 午前10時30分。四条通りの銀行へ。 この1週間で、ちょっとお金をつかいすぎた。 家族がきょうあたりから来ると予測していたので、お金は足りると思って いたのだが、グルメ・バカ娘のテスト日程のせいで、京都入りが遅れている。 洋服も残り少なくなって来た。 まるで、お城にこもって、兵糧攻めに遭っているようだ。 銀行でお金を下ろして、四条木屋町の「マクドナルド」へ。 京都のマクドナルドの看板は、黄色い「M」のマークはおなじだが、地の 色があの鮮やかなイタリアンレッドではなく、こげ茶色なのだ。昔、京都の 美観をそこねないようにという配慮から、わざわざこの色にしたらしい。でも、最近できたほかの「マクドナルド」は、どのお店も、ほかの地方と おなじ色になっている。京都でこげ茶色のマクドナルドを探す旅もおもしろ いかもしれない。 あれ? マクドナルドの朝食メニューって、午前11時まで続くの? あの朝食メニューが嫌いなので、わざわざ午前10時を過ぎてから来てみた のに。まいったなあ。ほかのお店に行こう。 お店を出て、高嶋屋方向に向かうが、暑い。 この夏一番の暑さになると、天気予報が言っていたが、ついに本格的な京 都の暑さをくらってしまった気がする。 昼過ぎには34度まで上昇するらしい。 ああ! 3分とたたずに、頭がぼうっとしてくる。 まるでサウナ風呂のなかにいるようだ。 でもサウナなら、10分近くはガマンできるけど、京都の夏は、10分も ガマンできない。 あわてて、高島屋に入り、涼む。 まさか怒涛のデブ軍団が残して行った体温で、京都じゅうが暑くなってい るのではあるまいな。目の前のお店は、アルマーニ。 それにしても最近のデパートとか、ファッションデパートで、男性用トイ レの数が少ないねえ。 戦後、女性蔑視反対運動が盛んになって、今日を迎えているけど、最近ち ょっと男性蔑視の風潮がちらほら見受けられない? 10分ほど涼んで、高島屋を出る。 むわ〜〜〜ん! ぼわ〜〜〜〜〜ん! 地面から熱風が立ち上っている。 「さて、どこで食べようか?」 あぢぢ…。何も考えられない。 目の前に、美味しいうどん屋さん「おめん」があるのだが、あの涼しいう どんすら食べるのがおっくうに思えるくらいに暑い。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 本当に暑い…。頭に来るくらい、暑い。 誰かをぶん殴りたいくらい、暑い。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 たまらん暑さだ。暑さで、歩き方が蛇行し始める。やばいぞ! 10メートル先まで歩くのが、ためらわれてしまう。 まるで、水泳で25メートルが泳げるか泳げないかくらいのレベルのとき の、20メートル目ぐらいの絶望感である。 ふひひひ、はほほほ、へほほほ…。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 きょうはのんびり「祇園祭」の山鉾を組み立てる儀式「鉾建て」でも見て 回ろうかと思っていたのだが、とても歩けそうにない。バス停ひとつ分です ら、バスに乗りたい。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 午前11時30分。けっきょく歩きたくないので、最初に入った四条木屋 町の「マクドナルド」に戻る。 すでに朝食メニューが終わっていたので、チーズバーガーにコーヒー、チ キンナゲットを食べる。体重を気にして、マックシェイクを飲まなくなって から、もう5年かあ。1日3〜4個飲んでた時期もあったなあ。 飲みたい気もするが、怒涛のデブ軍団の体型を思い出し、やめることにし た。もっとデブになったら、京都のこの暑さに本当に耐えられなくなる。 実際、病気する前、京都で外を歩いていられなくなったことがある。当時 は思い切りデブだった。今より10キロ・オーバーだ。 食後、先斗町を歩いて帰る。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 風がまったく止まっている。 ダメだ。5分歩くのがやっとだ。 午後12時。先斗町の「タナカ珈琲」で休む。 ふう。ひいっ。あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 もうどうすることもできんなあ。 早くマンションに戻って、仕事してたほうが幸せだな、これは。 再び歩く。 文房具屋さんを見つけては、クーラーが恋しくて入る。 ついでだから、ポストイットを買う。 再び歩く。 「ブックファースト」だ! この本屋のなかを通り抜けて、少しでも身体を 冷やそう。 おっ。この本おもしろそうだな。買おう。 こっちの本もおもしろそうだぞ。買おう。 『こち亀』の120巻をまだ買っていないな。買おう。 しまった! こんなに荷物持ったら、もっともっと暑くなるだけじゃないか! 再び歩く。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 あぢぢぢ…。 死にそうだよ、ホントに。 本が重い〜。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 午後1時。やっとマンションに着いたあ! 最後の「レッドラバーボール」で、もう1回コーヒーを飲みに入ろうかと 思ったくらい、頭がぼわ〜んとしている。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 クーラーの設定温度を思い切り下げる。 あぢぢぢ…。あぢぢぢ…。 もっと早く冷えてくれ〜〜〜いっ! あぢぢぢ…。 ぷひ〜。やっと通常の呼吸ができるようになった。 京都の暑さは、日本中のどこの暑さよりもきつい! 温度の上では、もっと暑いところがあるのかもしれないが、無風のサウナ 状態だから、体感の暑さは、絶対日本一だ。 同時に、体感の寒さも日本一だ。 比叡おろしの寒い風のせいで、温度異常に寒い。 そういえば、なぜ夏にこの比叡おろしが、吹かないのだ? 反対ならば、最高にすごしやすい町になるのに。 ベッドにひっくり返って少し休んでから、新作『桃太郎電鉄』の仕様書を 手直し作業を始める。 仕事してるほうが、快適だ。 今回は、余裕を持って、新作『桃太郎電鉄』を作ってるから、精神的にも 楽だなあ。その分いくらでも手直しがきくけど、たまにはじっくり『桃太郎 電鉄』を作ってみたかった。だから時間があることはうれしい。 いつも仕様書を書き始めてから、7ヶ月で完成だからね。 仕様書が完成してから、7ヶ月じゃないよ。書き始めてからだからね! ただ調子に乗って、内容を増やしすぎたので、ひょっとしたら、来年の年 末でも間に合わないかもしれないとの見方も出て来ている。 それは困るが、納得のいく仕事がしたいものだ。 いつ頃の発売を予定しているのかな。 夕方まで、みっちりお仕事。 充実の数時間だ。 午後5時30分。マンションを出るなり、もわっとした空気が押し寄せて くる。午後5時を過ぎたのだから、もう涼しくなったと思ったのに! 午後5時を過ぎても、気温は30度あったそうだ。 工具が欲しくなったので、北野白梅町のスーパー「イズミヤ」へ行く。 老舗のそごうデパートが、倒産するらしいけど、やっぱりこういう生活に 密着したお店のほうが、購買意欲が湧くもんなあ。 デパートって、何か見て回る場所、クーラーを浴びに行く場所になってし まったような気がする。 「イズミヤ」へは、ラジオペンチを買いに来ただだけなのに、食料品売り場 の「穴子ご飯」に「おつとめ品50円引き」のシールが貼られているのを見 たら、早く買わなきゃという気持ちになってしまった。 やっぱり、これが必要だよなあ。 そごうデパートも、時代を読む力のある人がいなかったのか、いても抜擢 する能力のある経営者がいなかったかの? いずれにしても、老舗というの はつねに新しい血を入れていかないといけない。 『桃太郎電鉄』にも、新しい血が必要なときだ。 新しいデブは続々加わっている。 こういうとき、冗談は言わないほうがいいよなあ。 午後6時30分。マンションに戻り、特売品の穴子ご飯を食べる。 ありゃ? 意外なほど美味しい。こりゃ、うまい! タレの甘さが、こってり。 細かいネギと、細いゴボウが、いい脇役を演じてる。 まいったね。穴子料理の専門店よりも美味しいぞ、これは。 使い捨ての時計を買ったつもりが、ローレックスだった…とまでは思えな いまでも、特筆すべき美味しさである。 デザートに買った、ハニデューメロンを食べて、さあ、新作『桃太郎電鉄』 の仕様書を手直しするぞいっ! 今夜もがんばりまっしょい!
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