7月3日(月) 読書ができる毎日はよいですのー! 朝から本を読んだり、ビデオを見たり。 午前11時30分。嫁といっしょに、湯島天神の側の「鳥つね」へ。ナム コの岸本好弘さんとお店で待ち合わせ。 6月10日の日記に載ったこのお店の親子丼の反響が大きくて、本当にい ろんな人に会うたびに言われた。岸本好弘さんもそのひとり。じゃあ、どう せならいっしょに食べに行きましょうということになった。 あいかわらず美味しさだけど、3人とも瞬く間に親子丼を10分間ほどで 平らげてしまう。丼物をちまちま食べてるというのも、粋でないにしても早 すぎる。 ここの親子丼は、つゆも多いし、卵も多いので、最初のうちは親子丼とし て楽しめて、最後のほうは、卵かけご飯としても楽しめる。 今後もこのお店の登場回数が増えそうだ。 食後、この間から気になっている、「鳥つね」の真ん前にある、昭和初期 の喫茶店のような「がまぐちや」に入る。「がまぐちや」というユニークな 名前と、塗装が剥げ落ちた門構えはちょっと怖かったのだが、入ってみると、 いたってふつうの喫茶店であった。好奇心の固まりのような岸本好弘さんは、お店のメニューにあった「プリ ン・特製」を注文する。ダイエット中でなければ、私もチャレンジするんだ けどな。 案の定、古めかしいカラメル多そうなプリンだった。 店名の「がまぐちや」は、昔がまぐちを売っていたからだそうだ。 なるほど、納得。 食後、湯島界隈を歩きながら、急に麻布十番に行きたくなる。 湯島から麻布十番? まったく正反対の場所ではないか! でも、土曜日に那須高原の帰りに、仙台に寄ってしまった私は、湯島から 麻布十番などかわいいものだと思ってしまうようになっていた。乗りのいい 岸本好弘さんは、もちろんおもしろがって「鯛焼きの浪花屋総本店ですか?」 と聞いてくる。 その通り。30度を越える蒸し暑さのなか、鯛焼きのお店に向かうところ がいいでしょ? 午後1時。麻布十番「浪花屋総本店」。 私は小倉アイス、嫁は宇治金時。 岸本好弘さんは、焼きそば。 この日記でも「浪花屋総本店」の焼きそばは美味しいと書いたけど、岸本 好弘さんが見た本には、焼きそばの美味しいお店ベスト3に載っていたそう だ。へ〜。美味しいとは思ったけど、そこまで評価されていたとは。何でも ベスト3にくくる人がいるもんだなあ。 岸本好弘さんにベスト3のもうひとつが京都にあると聞いたので、今週末 にでもそっちに行ってみようと思う。 岸本好弘さんとはいつも美味しいお店に行ってばかりだけど、ちゃんと仕 事の会話もしてるんだよ。『ファミスタ』の作者と『桃太郎電鉄』の作者の 会話なんだからね…って、わざわざ断りを入れないといけないくらい、岸本 好弘さんとは、食べ物談義、野球談義、歴史談義のほうが多いからなあ。 午後2時。帰宅。おもしろがりの岸本好弘さんは、並びの喫茶店 「らぴす」サンに行くことをリクエストしてくる。はっはっは。 午後3時。帰宅。お笑いの吉本興業が提携してる専門学校?って、言い切 ってしまっていいのかな? 東京ネットウエイブの学生さんたちが、取材に 来る。ハドソンの武田学くんにも立ち会ってもらう。 なんでも学校で、ボードゲームを作るらしい。 聞いたら、遠足をテーマの盤ゲームだそうで、すごく学生らしくておもし ろい企画。『桃太郎電鉄』のゲーム作りの苦労話など聞かれる。 学生さんの来訪は、ただファンなだけという場合が多いのだが、きょうの 学生さんたちは、明確に盤ゲームを作って苦労しているので、質問事項がな かなか適確。やっぱり苦労したり、失敗するってことは大事ですなあ。 取材中、雷が鳴るような豪雨。 先週の土曜日から3日連続で、豪雨だ。 今年の東京の水瓶は大丈夫だろうなあ。この調子なら。 午後4時。学生さんたちが帰り、なおも岸本好弘さんと雑談。 最近どうも『桃太郎電鉄』以外のゲーム作りに嫌気がさしているのだが、 ナムコという会社のゲームの作り方を聞いていると、かなり魅力的。ちょっ と色気が出てしまうなあ。 少なくともおもしろいゲームを作るのが好きな人と仕事がしたいなあ。も う発売日に間に合えば、おもしろくなくてもいいというやり方の会社とは金 輪際、仕事はしたくないよ。 この日記を読んでいる人は、そんな会社あるの?って思ってるでしょ? ゲーム業界の80%以上がそういう会社だよ。厳密にいえば、会社じゃな くて、個人だけどね。 もう13〜4年もゲーム作りをしていると、「ああ! この人はおもしろ いゲームをつまらなくしちゃうのが得意な人なんだなあ!」という予測がた ってしまうことが多い。 おっと。あんまりこういう愚痴は言っちゃいかんですなあ。年寄り臭くな る。 午後5時30分。嫁とふたりで、東京ドームへ。 えっ? きょうは月曜日だから、プロ野球の試合は無いはずでしょ?と思 った人は、かなりプロ野球マニア。 実は、きょうの東京ドームでは、モルツ球団の野球が開催されている。 そう。B・R・サーカス出版の森澤明夫くんに譲ってもらったチケットで 観戦に来ているのだ。 今回のモルツ球団の対戦相手は、甲子園ヒーローズ。 甲子園を沸かせて、その後プロ野球に入って、現在OBになっている人た ちが出る。 ドカベン香川とか、三沢高校の大田幸司さんたちだ。負けイヌ定、こと定 岡正二さんもいる。 監督は坂東英二さん。坂東さんは今やTVタレントのイメージが強いが、 甲子園史上を代表するようなヒーローなのだ。 ドームについたら、すでにモルツ球団の選手たちのバッティング練習中。 受付で引き換えたチケットを握って、座席を探す。 おお! バックネット裏のほうの席か。けっこういい席だな。 うむむむ。けっこう上に上がっていくなあ。 バックネット裏とはいえ、2階席か。 午後3時から、座席指定券と交換開始だったから、もうちょっと早く来た ら、もっといい席だったんだろうなあ。 よいしょ、よいしょ。2階席にしては、どこまでも登るなあ。 ひい、ひい…。階段は苦手だぞ。 横浜ベイスターズの優勝直前もこうやって、苦しい階段を必死に登ったも のだと、ま〜〜〜だ、死んだ子の年を数えている。もう2年も経っているの に。 しょうがないでしょ、最下位目前じゃ。 おお! あった、あった! ふひ〜。疲れたあ! おいおい、ちょっとここは高過ぎやしないかあ? バックネット裏の2階の階段を登って行った最上列の、3列前くらいじゃな いかあ! ほとんど天井! ドームの席は、天井に近づけば近づくほど、傾斜がきつくなる。 ちょ、ちょ、ちょっと待った。 私は高所恐怖症の上、まだ手足が不自由なので、まっ逆さまに落ちそうな こういう席は、とっても苦手なのだ。 一応、怖さをガマンしながら、お弁当を食べる。 東京ドームに来たら、お弁当はやっぱり「ドーム弁当」である。 こういう球場のお弁当というのは、まずいというのが相場である。 ただそれに関しても、ひとつの逃げ道はある。 まずステーキ弁当の類いを食べてはいけない。 お店で出る美味しいステーキに匹敵するお肉が、球場用のお弁当に出ると 思うこと自体、考えが甘い。 次にカレーは、比較的外れが少ないが、どんな庶民も、カレーの優劣には みなさん、一家言あるものだ。だからカレーの美味しさに、文句をつけやす い。幕の内弁当も同様。駅弁、仕出し弁当などで、幕の内弁当を食べる機会 が多いので、誰もが口奢りのはずである。 その点、ドーム弁当は、チキン・ケチャップライスが主体。このオムライ スの中身のような、チキン・ケチャップライスは最初からどのお店でも出る ものの、味が総じてチープだから、一番差が出づらい。ゆえに私は、ドーム 弁当を選んだのである。 以上、球場でのお弁当を間違えて買わない方法でした。 さて、ドーム弁当を食べながら、モルツ球団の選手たちをながめていた私 は、次第に気持ち悪くなって来る。 高所のせいだ。 おまけに、席は列のど真ん中。 この席から、トイレに立とうとすると、私は緊張のあまり、左手が固まっ てしまうに違いない。今でも緊張すると、左手首がびりびり痛くなる。どう しよう? きょうは、公式戦じゃないから、お客さんたちも気持ちが血走っていない だろう。 そう思った私と嫁は、ズルをすることにした。 階段を下りて、2階席の出入り口近くの空いてる席に座ってしまうことに した。その席のお客さんが来たら、謝って、よろよろとほかの席に移動する 作戦である。良い子のみんなは、真似しないようにね。私の場合、あのまん まずっと高所にいたら、気絶しちゃうかもしれないからね。 午後7時。オープニング・セレモニー。 日テレのアナウンサー・福沢さんが登場して、挨拶と選手紹介。 アナウンサーっていうのは、本当に見事に立て板に水のようにしゃべれる ものだなあ。まったく澱みが無い。特殊技能だと思う。 モルツのCMでおなじみの鈴木京香さん、藤島親方(元・若乃花)といっ た人たちが始球式をしたりして、いよいよ試合開始。 豪華なメンバーだよ。 オールド野球ファンのみなさまのために、先発メンバーをご紹介。 まずは、甲子園を沸かせた、甲子園ヒーローズ・チーム! 6・尾上(中日) 4・安西(巨人) 5・金村(近鉄→中日) 2・ドカベン香川 7・石井雅博(箕島高校→巨人) 8・定岡(負け犬サダ) 3・尾崎行雄(浪商→東映。伝説の投手) 9・山沖(阪急) 1・太田幸司(日本最初の甲子園アイドル。三沢高校→近鉄) ドカベン香川の太りっぷりがお見事。 ゲストの藤島親方よりも太っていたような気がする。 並んでみてほしかったなあ。 怪童・尾崎行雄投手を見ることができたのは、うれしいなあ。高校出て、 すぐプロ入りして、数年間連続で、20勝だったか、30勝だかした、それ はそれは豪腕の投手。 もう55歳だって。 ほかにも、甲子園ヒーローズのメンバーには、箕島高校→中日の牛島投手。 早実→ヤクルト、最後に1年だけ横浜ベイスターズにいた荒木大輔投手など など…。 対する、モルツ球団。 9・田尾(中日) 5・石毛(西武) DH・張本(東映→巨人) 3・バース(阪神) 8・山本浩二(広島) 2・田淵(阪神→西武) 4・高木豊(横浜ベイスターズ) 7・吉村(巨人) 6・広瀬(日ハム) 1・村田兆治(ロッテ) すごいメンバーだよ、ホント。 選手紹介のとき、拍手と歓声が多かったのは、大沢監督と、バース選手の ときだった。 ほかにも、西本聖投手(巨人)、江夏豊投手(阪神→南海→広島→日ハム →西武)、パンチ佐藤、宮本和知投手(巨人)、北別府投手(広島)、川藤 外野手(阪神)などなど…。 本当は川藤選手のところには、外野手ではなく、代打と書いてあった。さ すがモルツ球団。 試合のほうは、1回表、いきなり甲子園ヒーローズの尾上選手が、バント! 甲子園といえば、バントという趣向らしい。 ところが、このバントを村田投手がお手玉して、セーフ! 草野球みたいな展開がいいなあ! バースを生で見ることができたのはうれしい。 左打者のイメージは強烈にあったけど、守備は右投げだったんだねえ。一 塁の守備についたときに、思い出した。 2回裏。わが横浜ベイスターズ出身の高木豊内野手が、なんとランニング ホームラン! センターの定岡選手がちゃんと捕れなかったせいもあるけど、 とにかく本塁打。 何であれ、元横浜ベイスターズの選手が活躍するのは、うれしいかぎり。 ひいきにもほどがある? そんなもんよ、ファンは。 その後、どちらのチームも体力不足は隠せない。 ポップフライばかりで、点が入らない。 おや? 通路を歩くあの男。あっ、伝説の漫画雑誌『ペケ』の編集長だっ た仲原研一くんではないか! すでにモルツをしたたか飲んでいるようで、すっかり赤ら顔。 昔、杉並区の家の頃、よく遊びにも来た。 この仲原研一くんは、伝説の漫画雑誌『ペケ』であの大友克洋さんに『ア ゲイン』を描かせたり、いしいひさいちサンの漫画に登場したりする名物編 集長だ。 「仲原くん!」 「いやあ、どうも、どうも。村田を見るために来たんですよ。現役ですよ、 あの速球は。もう3回連続で、モルツ球団を見ているんです、僕!」 彼は何年ぶりに会っても、いつも先週から引き続き会っているようなしゃ べり方をする。嫁が彼に会うのは、初めてといっていたから、ひょっとする と、12〜3年ぶりに会ったのかもしれない。 あいかわらず、おもしろい男だ。 その後、試合は以下の通り。 甲子園 000 0 モルツ 010 1 定岡投手が打たれたところで、私と嫁は退席する。 一通りお目当ての選手を見ることができたからね。帰りにドーム名物・星 一徹饅頭を買って帰る。包装紙の「あまいわぃ!」の文字が泣かせるなあ! 午後8時。東京ドームホテル1Fの喫茶ルームで、コーヒーを飲んで行く。 新しくできたホテルなので、待ち合わせに便利かどうか、チェックしておく。 この業界、待ち合わせが上手い人にならないといかんですからな。 午後9時。帰宅。 密度の濃い1日だったので、したたかへばる。 東京ドームの高所に、左腕が痛い。まだまだ病人のようですな。調子に乗 って無茶はしないことだ。でも念願のモルツ球団を見ることができたのは、 うれしいかぎり! B・R・サーカス出版の森澤明夫くん。改めてありがとうです! 眠い! 寝る!
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