さくまあきらホームページ:仕事人裏日記




6月1日(木)


 きょうは、東京から、桃太郎チームの、国政修くん、土居ちゃん(土居孝幸)、
宮路一昭くんが来て、会議の予定。
 締め切りぎりぎりまで原稿を書き続ける漫画家さんのように、新作『桃太郎
電鉄』の仕様書を作り続ける。

 午前11時30分。京都駅へ。本屋で買い物などしたあとに、近鉄京都駅改
札口の隣りにある、パン屋さん&喫茶店「パンドール」でコーヒー。この喫茶
店は、新幹線中央口からいちばん近い喫茶店なので、待ち合わせに実に便利。
 最古のさくまにあ・戸田圭祐とはいつもここで待ち合わせる。

 かといって、東京から来る土居ちゃん(土居孝幸)たちと、この店で待ち合
わせしているわけではない。
 実は、土居ちゃんたちが、東京で乗った新幹線がどれか知っていたので、迎
えに来て、驚かせてやろうという魂胆なのだ。

 私の予測では、午後12時10分着の新幹線で来るはずだ。ふっふっふ。
 おっと、週刊文春を読んでいたら、もう午後12時08分だ。コーヒー代を
払って、改札口に待機して、デジカメをかまえないと!
 新幹線がホームに着くのが、午後12時10分。
 ホームから改札口まで、少なくとも、3〜5分はかかるはずだ。
 
 私は、改札口に、午後12時10分に着く。
 西村京太郎さんの鉄道ミステリーに登場する、殺人犯のように、時間に正確
だぞ。停車時間わずか6分の間に、人を殺して去って行く作品があったが、今
の私なら、本当にできそうだ。

 しかしきょうはの相手を殺してはいけない。
 私としては、宮路一昭くんの携帯に電話を入れるだけだ。
「あ、宮路くん、そろそろ改札口かな? 目の前の先のほうを見てくれるかな? 
私が見える?」
 …と言うはずだったのだ。

 だったのだ、ということは、この作戦は失敗したということだ。
 なぜ失敗したかを、読者諸氏に考えていただきたい。
 5分間待つ。

 1分。
 2分。
 3分。
 4分…。
 5分……。

 単なる行数稼ぎである。
 さて、正解を言う前に、考えうる場面を並べてみよう。

 1・実は土居ちゃんたちが電車に乗り遅れて、午後12時10分に京都に到着
   する新幹線に乗れなかった。
 2・時間どおりに来た。しかし、土居ちゃんと宮路一昭くんは、ラーメン夜食
   兄弟なので、駅構内で、ラーメンを食べている。
 3・独身の土居ちゃん(土居孝幸)が、新幹線のなかで、見知らぬ女性と恋に
   落ちて、そのまま土居ちゃんが、博多方面に向かってしまった。
 4・修学旅行生がいちばん多い時期なので、サイン攻めにあって、改札口まで、
   たどりつけないし、私が鳴らした携帯の音を、宮路一昭くんが聞こえなか
   った。

 さて、正解はどれ!?
 チッ、チッ、チッ、チッ、チッ、チッ、チッ、チッ、チッ、
 ブ〜〜〜〜〜〜ッ!

 正解は、私がiモードをちゃんと操作できなくて、宮路一昭くんの携帯番号を
探せなかった!
 はっはっはっは! ほんとの話なんだよ〜!
 私が「電話帳」と書かれたところのボタンを押すと、「    」が出てきて、
名前を入力しろ!という画面が出てきてしまうのだ。
 もちろん、私は電話の登録を嫁にまかせているというくらい、私は文字入力が
できない。
 早い話、iモード・ゲーム『さくま式奥の細道』の絵ハガキを友だちに送ると
いうイベントは、私にはできない。笑え!

 要するに、iモードのボタンをあっちこっち動かして、宮路一昭くんの携帯番
号を探している間に、土居ちゃんたちは、私の前を通り過ぎて、伊勢丹デパート
側にまで行ってしまっていたようなのだ。
 そのことを知ったのも、私がしどろもどろになっているところに、宮路一昭く
んから電話が入ったからなのだ。

「宮路です! いま京都駅に着いたんですけど、これから直接さくまサンのお宅
に向かえばよろしいでしょうか?」
「あわわわ(戸田圭祐になっちまってる)! 宮路くんかあ! 待ってくれ! 
私もいま、京都駅にいるのだ!」
「えっ!?」
「とにかく、伊勢丹デパートの前で待っててくれ!」
 
 伊勢丹デパート前で、めでたく合流。
 事情を話して、みんなに大笑いされる。
 着信履歴すら、見ることができなかったことも、バレる。

 午後12時30分。私がまだ食事をしていなかったので、京都駅地下街の「イノ
ダコーヒ」で、ビフカツサンドにコーヒー。
 あれ? 駅弁を食べてきたという、宮路一昭くんが何で私とおなじビフカツサン
ドを注文しているんだ?
「いえ、あの、3人で一切れずつ食べようかと思って…」
 デブになるのに、理由はいらない。
 食い過ぎ!

 午後2時。全員揃って、京都のマンションに行き、いきなり会議。いつになくみ
んな真面目に討議だ。
 私は新作『桃太郎電鉄』の仕様書の90%を完成させているので、大手を振って、
この会議に出席できる。先週金曜日に京都に来たときは、どうなるかと心配だった
んだけど。
 おかげで、国政修くんからの矢継ぎ早の質問も、次々に答えることができた。

 午後6時。4人は、おなじみ和風割烹料理のお店「M」にいるではないか! ま
たかい!
 なんと、土居ちゃんは昨日、メールで「M」に行きたいと私に送ってきていたそ
うだ。甘いぜ、土居ちゃん。私へのメールは、すべていったん嫁のiMacにプー
ルされてから、私のVAIOに転送される。しかも私はそんなにメールチェックし
ないから、情報到達が遅れるのだ。自慢してどうする。

 とはいえ、こうして「M」にいるというのは、まったくの偶然。
 たまたまお座敷の4人用の席がきょうだけ空いていたのだ。
 土居ちゃんのラッキー運、急上昇。
「ゆりちゃん(グルメ・バカ娘)の超能力が、ボクにも乗り移ったのかなあ」と、
土居ちゃん。

 そんなわけで、会議も大収穫たっぷりだったので、大いに羽を伸ばして、美味し
い料理に舌鼓。
 どんどんこ、すっとんとん! おむすび、ころりん、すってんてん! 意味不明!

 京都に来てから、ひさびさの豪華料理に、私の胃袋もワルツを奏でているようだ。
ズンタッタ〜、ズンタッタ〜!
M M
     トロあぶり、季節の鱧(はも)のお造りなど、んまい、んまい。  鱧(はも)なんて、タラバガニのように、太いもんなあ。  まあ、でもこの辺は、うちの家族も毎年食べている定番だから、  まあ、家族に気をつかうことなく食べられた。
M M
     困ったのは、鴨ロース!  新メニューだ!  特製ソースをたっぷりつけて、わさびとネギをからませて食べる! 「おいしい〜〜〜!」と高音で叫ぶ、宮路一昭くん。 「宮路くん、頼むから家族の手前、あんまりおいしくなかったと言ってくれ!」 「言えないですよ〜.この味は〜!」  午後8時。京都相互タクシーの宮本さんに来てもらって、ブライトン・ホテル まで。いっしょにお茶を飲む。  土居ちゃん、国政修くん、宮路一昭くんが、実は、京都相互タクシーの宮本さん とは初対面なのだそうだ。  ところが全員、この日記を見ているので、宮本さんの顔を知っている。宮本さん も、『さくまあきらの正体』(B、Rサーカス刊)で、土居ちゃんの顔を知ってい たりする。  不思議な時代である。  初対面同士なのに、お互いを知ってる。  ところで、すぎやまこういち先生! 宮本さんから伝言です。 「先生に会えなくて、宮本はさみしいです〜! 早く、京都に来てくださ〜〜い!」 とのことです。  宮本さんは、すぎやまこういち先生ご夫妻のご紹介で、私は知り合いになったの だ。  午後9時30分。マンションに戻り、さらに会議。  国政修くんの質問に、全問正解!じゃなくて、全問回答。  これは最高に気分がいい。  1日15時間の仕様書作りのおかげだ!  午後11時30分。会議終了。  どうもまた土居ちゃんと、宮路一昭くんは、ラーメンを食べに行くようだ。ふた りの食いっぷりにあきれている、国政修くんの顔がおもしろい。まあ、誰でもあき れるわな。このふたりには!  えっ? ひとり足らないって?  放送作家の福本岳史くんのことかな?    本当は来るはずだったのだ。  でも、断固断った。  さすがに今週の日曜日、福ちゃんは結婚式なのだから、「この会議に来るな!」 と言っておいたのだ。  福ちゃんの仕事好きにも、困ったものだ。  そんなわけで、また明日も、このメンバーで会議。  おおっ! 横浜ベイスターズがひさびさに快勝! えっ? 勝ったのに、5位?  いつのまに5位にいる!? やばいんでないの!
 

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