5月28日(日) 朝から、しずしずと新作『桃太郎電鉄』のお仕事。 さすがにメッセージの決定稿の時期に入ったので、TVやCDを つけっぱなしで、仕事をすることができない。 静寂の中で、息をひそめて、人形師が絵筆を握るようにキーボー ドを叩く。カタカタカタ…。 しかし、キーボードに刻まれる文章は「こうなりゃ ヤケですな 社長! そーれ! ヘリコプターよ! 風のむくまま 気のむくま ま いったれ! いったれ!」といったものである。 真剣なわりに、緊張感に乏しい。 午前11時45分。近所の御池通りから、100円循環バスに乗 る。この4月に発足した、値段の安いバスである。東京代官山にも ムーバスというかわいらしいバスがあるので、それを予想してたら、 いつものでかいバスが来た。 「値段を安くしたんだから、乗り物まで新しくすることないでっし ゃろ!」と解説する関西人・戸田圭祐の声が聞こえてくるかのよう だ。しかもこの循環バス、京都の本当にど真ん中の四角形を循環する だけである。京都駅にも行かない。わずか1キロ四方を廻るだけだ。 何たって、手足の不自由な私の散歩コースとほぼおなじなんだか ら、走行距離は短すぎる。 はたして、乗客は4〜5人。 これでは何の意味があるのかわからない。 タクシーで初乗りですむような区間だから、タクシー業界に打撃 を与えるただけの開通のような気がする。 午後12時。烏丸四条で、100円バスを降りて、イノダコーヒ 四条店に行く。 イタリアン・スパゲティにカフェオレ。 イノダコーヒのイスに座ると、条件反射のように、アイデアが湧 く。きょうも座ったとたん、アイデアが湧く。きょうは困るのだ。 新作『桃太郎電鉄』の九州マップ部分をそろそろ完成させたいのに、 さらに新しいアイデアが出ると、いつまでたっても完成しない。 戦さは、攻め時も大切だが、撤退がいちばん難しい。深い追いし すぎて、せっかくの勝利を一転、敗北にしてしまうことが多い。 というわけで、このお店で長居すると、次々にアイデアが出てし まうので、さっさと帰る。 午後1時30分。マンションに戻り、ひたすら新作『桃太郎電鉄』 のお仕事。 毎日1、5リットルのミネラル・ウォーターを摂取することにし ているので、トイレが近くなる。トイレに立つ以外、ずっと仕様書 作りで、イスに座りっぱなし。 午後2時…。 午後3時…。 午後4時…。 午後5時…。時の立つのはあっというまだ。 午後6時。急に、「なか卯」の牛丼が食べたくなって、マンショ ンを出る。河原町通りに1軒くらいあるだろうと思いながら、三条 河原町へ。いきなり吉野家の看板を見つけるが、パスする。 きょうは「なか卯」で、食べたい。 河原町を下る。 運動不足解消にいいやと、歩く。 日曜日の河原町は、やはり人通りが多くて、よく人にぶつかる。 おっと、四条通りまで来てしまった。 いざ探すと、ないもんだなあ。 そういえば、「祇園に牛丼屋ができるとは京都も落ちたもんだ!」 といった記事を読んだことがあるぞ。かなり足がふらつきはじめて いるけど、行ってみよう。もう吉野家でもいいぞ。こんなことなら、 通りに出たところの吉野家にすればよかった。 吉野家って、吉野屋って、書かずに、「吉野家」なんだなと変なこ とを思い出す。 四条大橋を越えて、八坂神社に向かって、歩く。 そろそろまっすぐ歩いているつもりが、蛇行しているようだ。 おかしいなあ! 無いぞ〜! まいったなあ。 祇園には、お店が多いから、もう牛丼じゃなくても、何でもいい や! 祇園を北上する。 悪いときには、悪いことが重なるものだ。 きょうは、日曜日。 祇園のお店は、ほとんどお休みだ。 うひょ〜。足をびりびり言わせながら、三条を越えて、とうとう 御池河原町の交差点まで歩いてしまう。ほとんど、ふりだしに戻る ではないか! しかも、まったく新鮮味のない「カスケード」で、まるごとパン にコーヒーで、夕食となってしまった。へばりすぎて、牛丼すら食 べる気力が無くなってしまったのだ。 1時間も歩き続けた。 少なくとも運動不足は、解消されたが、疲労はずしりと残りそう である。 午後7時30分。京都のマンションに戻る。 ベッドにひっくりがえると、寝てしまいそうなので、とにかくイ スに座る。 新作『桃太郎電鉄』の仕様書を見ると、目がくっきりする。 本当に私は仕事が好きだな。 午後8時から、『葵・徳川三代』を見ることは、京都に来ても、 忘れない。 6月1日に、桃太郎チームの国政修くん、土居ちゃん(土居孝幸)、 宮路一昭くんがわざわざ京都に来てくれるから、それまでに、ほと んどの仕事を終了させておきたい。 今夜も、ぶっ通しで、がんばりまっしょい! 主語は、自分!
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