5月9日(火)


「法の華」の福永法源が逮捕された。
 ニュースを見ながら、この教団の前だか、隣りだかのフランス料
理屋「さくら」は、おいしいのになあ!と思ってしまうのは、食道
楽家族の悲しい性だ。

 それにしても東京に帰って来たら、いきなり暑いじゃないか!
 京都にでかけるときは、トレーナーにジャケットでも寒かったの
に、きょうはもう、半そでででかけることになりそうだ。
 春を飛び越えて、初夏だね、もう。

 午前11時。郵便局に、司馬遼太郎記念財団への、寄付金を収め
に行く。
 生前の司馬遼太郎さんの自宅を保存しつつ、隣接地に、司馬遼太
郎記念館を建設するそうである。
 知ってのとおり、私の成分表の主成分は、司馬遼太郎さんである。
 もちろん、司馬遼太郎記念館の設立に協力させていただく。

「ご協力いただいた方のお名前を、記念館に刻ませていただきます」
とあるから、みんなもどうかな?
 1口1万円からだそうだ。

 私はずっと今年に入ってから、この寄付金の金額に悩み切ってい
た。私が今日こうして、のうのうとおいしい物を食べさせていただ
いているおかげのほとんどは、この司馬遼太郎さんと、劇画原作者
の小池一夫さんと、集英社の編集者・花見萬太郎さんである。

 ただし、小池一夫さんも、花見萬太郎さんも、直接ご教授いただ
いた方である。司馬遼太郎さんとは、面識が無い。ただの一読者だ。
 幸いにして、亡くなる直前に、司馬遼太郎さんの担当編集者の方
を通じて、私の思いが、司馬遼太郎さんに伝わったことは伝わった。

 それだけに、寄付金が高すぎても、不遜だし、恩義という意味で
は、思い切った金額を寄付したい。
 おなじ司馬遼太郎ファンである、蔵人総合研究所の赤根豊くんも
この寄付に参加したのだが、彼は最低金額の1万円であった。ひそ
かに絶対赤根豊くんの倍の金額を出すぞ!と意気込んでいただけに、
1万円では拍子抜けである。
 29歳の赤根豊くんと張り合ってどうする?

 予定通り、赤根くんの倍では、2万円ではないか。
 2万円では、私の司馬遼太郎さんに対する気持ちが、納得できない。
 そんなこんなで、ここ数ヶ月、悶々と悩んでいた。

 ようやく今回、気持ちが固まって、振り込んだ。
 かなりの大金である。
 ここでその金額を書くのは、忍ばれるので、『ほんのチョイ係』の
ほうに、私がいくら寄付したかを、送ってくだされ。正解者に何も
あげないけど。ははは。

 午後11時30分。嫁と渋谷「チャーリーハウス」へ。暑いので、
張り紙にあった「五目ひやしそば」を食べる。
 やっぱり「冷麺(ひやし中華)始めました」という張り紙は重要
だね。
 下品な冷やし中華と違って、さすがチャーリーハウス!
 上品で、お酢と醤油と麺の絡み方が、名人芸だ。
 ただあまりにも量が多いので、お腹ふくるる。

 食後、嫁のあとをついて行って、渋谷の法務局、銀行などへ。
 私はすることが無いので、iモード・ゲーム『さくま式奥の細道』
をやる。配信ヴァージョンだけど、まだまだ手直ししたいので、テ
ストプレイを続けている。もうテストプレイという言い方ではない
のだけれど。

 午後1時30分。渋谷に新しくできた、東急エクセルホテルの「マ
ークシティ」へ。B1の「キハチ・カフェ」。
 デブで食べてくれと言わんばかりのアイスクリーム「黒胡麻はち
みつ」にコーヒー。美味、美味、美味、美味、美味! 

 午後2時30分。帰宅。
 仕事を始めるも、ある仕事に対して、怒りが爆発する。
 日記で詳しく書けないのが、なんともつらいところだ。
 こう書くとまた、「何? 何? どうしたの?」という電話が増え
てしまうし、どうしよう?

 いやいや、いつものことですよ。
 私の仕様書が、ゲームを作るほうの人に伝わらないだけですよ。
 メッセージをいぐちゃぐちゃに入力されただけですよ。
 あ〜、あ〜。どうして、こっちが書いたとおりに、入力してくれ
ないのかなあ?
 まあ、1年以上、土居ちゃん(土居孝幸)の名前をずっと「土井さ
ん」と書き続けるような人に、何を言っても無駄だよなあ!

 やっぱり桃太郎シリーズだけ作ってろってことかな?
 でも、桃太郎シリーズだけしか作らなくなると、とたんに、ハド
ソンも態度が変わる人がいるからなあ!
 ああ! どこかに私の言う通りに、ゲーム作れる人って、いない
のかなあ?
 言わない通りに作れる人ばっかだよ。

 気を取り直して、新作『桃太郎電鉄』の仕様書作り。
 やっぱり、ダメだ。
 こういうテンションで書いた文章は、殺気立ってよくない。
 やめよう。
 こういう風に、文章を書くときは、本当にコンディションを整え
て書くのに、文章ぐちゃぐちゃにされたら、たまらんのよ、ほんと。
 文章は誰でも書ける。
 誰でも書けるものを、商売にしている文筆業は、1文字1文字に
命を賭けてるわけですよ。

 こういうときは、読書でもしてすごすほうが賢明だな。
『島津は奔る』を読む。

 きょうは、横浜ベイスターズ対巨人戦だ。
 こういう日は、ぼこぼこに横浜ベイスターズが負けることになっ
ている。

 午後6時30分。渋谷東横のれん街で、買って来たあなご寿司を
食べる。きょう嫁は、放送作家の清正まなつサンとでかけている。
 グルメ・バカ娘も帰って来ないなあ。
 
 午後7時。はっはっは。横浜ベイスターズ対巨人戦が始まったよ、
いきなりぽこぽこ打たれている。
 こういう日だ、きょうは!

 おっ! 『ペントハウス』の西永くんからひさびさに電話が入る。
 ほいほい。漫画のベストテンをあげてくれ?
 おお、いいね。
 こういうお仕事のほうが楽しいよ、きょうは!

 ベストテンかあ。迷っちゃうなあ。
 こういう取材って、言ったあとに、あれも入れておけばよかった、
これも入れておけばよかったと後悔するものだ。
 元漫画評論家だから、語りだすと全然みんなが知らない作品をあ
げてしまうから、読者として、何度も読み返した回数で、ベストテ
ンを決めてみようと思う。

 何を選んだかは、雑誌のほうを見てね。
 漫画の世界に戻りたいねえ!
 そんな気分ですな、きょうは。
 

-(c)2000/SAKUMA-