5月8日(月)


 朝、寝起きのぼ〜とした頭のまま、東京への帰り支度。
 何か忘れ物をしそうで、こわい。
 4月28日から、きょうまで、延べにして、11日間京都にいた
ことになる。
 お正月並みの滞在期間だ。

 午前10時。妙にカレーパンが食べたくなって、ゼスト御池地下
街の「カスケード」で、カレーパンとコーヒー。
 ついでに、東京の夜食用に、モルトくるみパンも買う。

 食後、だらだらと川原町界隈を散歩しながら、バスに乗って、京
都駅へ。伊勢丹デパートB1で、おもしろい京都土産を物色するも、
奇抜なもの見当たらず。
 期間限定・焼き芋生八つ橋のようなような傑作がない。

 きょうはこれから、築地のハドソンで、桃太郎チームの打ち合わ
せなので、珍奇な物を食べさせて、人体実験するには、最高のメン
バーが揃っているだけに、もったいない。

 さんざん悩んだあげく、亀屋良長(かめやよしなが)の小さくて
甘い「うば玉」をお土産に買ってしまった。これではあまりにも、
上品な人に持っていくお土産だ。

 やっぱり無理してでも、あのデブデブ軍団には、「クレーム・デ・
ラ・クレーム」のバケツ入りのシュークリームのほうがよかったと反
省する。

 午前11時30分。近鉄京都駅改札口脇の喫茶店「パンドール」
で、仕事をしながら、新幹線待ち。

 たまにはちょっとした豆知識として、さくま式新幹線キップの買
い方を紹介。たいした買い方ではない。
 だいたい私は気まぐれなので、乗る寸前に買ってしまうが、この
方法だと、1番前の席か、1番後ろの席になることが多い。しかも
1号車とか、16号車とか、端の車両になることも多い。
 早めに予約すると、5号車とか、6号車といった、ホームに上が
って、そんなに動かなくていい車両に予約できることが多い。
 やっぱり予約はお早めに。
 私は、旅なれているので、1番の席になりそうだと、違う車両で
空いてる席はないですかと言ってしまう。こういうことは平気で言
える。
 席は、いつも禁煙車。
 やっぱり禁煙車のほうが、空気がいい。

 あと私流なのが、ひとりで新幹線に乗るときは、必ず「みどりの
窓口」で、「通路側の席をお願いします!」ということにしている。
 窓側のほうが、景色がいいのだが、通路側の隣りの人が、ぐーぐ
ー寝てしまうと、またいで、トイレに行くのが至難の業になって来
る。通路側の席と言っておけば、けっきょく窓側に誰も座らない場
合も多いので、2座席ゆうゆう座れることが多い。
 これはけっこう豆知識でしょ?

 午後12時10分。のぞみ12号。京都駅発。
 連休明けのわりには、けっこう混んでいて、3歳以下の赤ん坊が、
4〜5人も乗っていて、がっくり!
 あ〜あ〜、東京まで寝ていこうと思ったけど、これは赤ん坊の泣
き声合戦でなられないなと、覚悟する。
 この赤ん坊が嫌で、わざわざ連休明けの新幹線にしたのに。

 いつも思うのだが、グリーン車を作るくらいなら、ベビー車も作
ってほしい。そこで思う存分、泣いてほしい。
 だいたいあの赤ん坊たち、人に迷惑をかけておきながら、料金無
料なんだぞ! その辺のことを考えて、少しは親も、赤ん坊が泣く
のを減らす努力をすればいいのに、最近の親は、まったく泣かせっ
ぱなしで、何もしない。
 これはマナー違反ではないか?
 携帯電話をマナーにというなら、赤ん坊もなんとかしてくれい。
 赤ん坊を新幹線に乗せるなとは言わないから、JRが禁煙席、喫
煙席に続いて、ベビー車両を作っていただきたいものだ!

 眠れないので、新作『桃太郎電鉄』のアイデア出しを始める。こ
の京都ひとり合宿&後半家族+戸田圭祐の小旅行シリーズ中に、九
州マップ部分がほぼ完成した。
 なのに、またいまここで仕事を始めたら、さらに九州マップ部分
に新しいアイデアがどんどん沸いてきてしまった。
 いつも新幹線に乗ると、パブロフの犬のように、アイデアが出る
ので、九州マップ部分をそろそろ終わりにして、全国マップのほう
を手がけたいだけに、困ったものだ。きりがない。

 ゲームのイベント数というのは、その作家が絶対量を決める裁量
があるので、作家本人が「ここで終わりにする!」と宣言しないと、
いつまでも作りつづけてしまうものだ。
 本当にそろそろ、手打ちにしないとな。

 赤ん坊の泣き声合唱団を後ろに聞きながら、新幹線の電光ニュー
スを見る。
「ゴールデンウィーク中の人出、今年は全国で6810万人。昨年
より1400万人増加…」と流れる。
 一体この全国で6810万人というのは、誰が数えてるんじゃい!

 少なくとも、うちの家族3人と戸田圭祐の4人は、彦根、石山寺、
福井と3箇所も行って、日帰りしているぞ。
 ってことは、少なくとも、全国6810万人のうち、24人分は
重複しているぞ。

 おまけに博多どんたくに、220万人の人出と伝えているけど、
どうやって数えてるの? 朝からずっといた人、来てすぐ帰った人、
午前中来て、また昼過ぎに来た人をどうやって数えてるの?
 博多どんたくのように沿道を使ったお祭りは、入り口も出口もな
いのだから、入場者数をカウントできないはずだ。

 実は何でこんな言いがかりをつけているかというと、昔、取材で
「江ノ島にどっとくりだす50万人!」とかいう数字はどうやって
出すのかを、『探偵ナイトスクープ』のように、追跡調査したことが
あるのだ。
 雑誌の企画で。
 すると、その地方に、人数を数える名人というのがいて、その人
が人込みを見て、だいたい**万人だなと決めているというのが、
その結論だったのだ。
 これが『関が原』のように、戦ったあと、軍勢が発表されるもの
なら、誤差を訂正できるが、この「どっと海にくりだす**万人!」
は、誰からもクレームを出せないではないか!
 こういう不思議な数字が、ずっとまかり通っているのを、誰も不
思議と思わないのだろうか?

 そんなことを思っているまに、新横浜を通り過ぎた。
 午後2時24分。東京駅着。嫁に迎えに来てもらっている。

 午後3時。そのまま築地のハドソンへ。
 桃太郎チームの打ち合わせ。
 メンバーはおなじみ、桃太郎事業部の梶野竜太郎くん、武田学く
ん、石崎仁英くん、国政修くん。
 土居ちゃん(土居孝幸)、宮路一昭くん、放送作家兼新婚デブの
福本岳史くん。
 なんだかとても、どの顔ともおひさしぶり。

『桃太郎まつり(仮)』、新作『桃太郎電鉄』、それに実はもう1
本同時進行で進んでいるゲームがあって、打ち合わせの会話が、
あっちに飛んだり、こっちに飛んだり、てんてこまい!

 一応話題の中心は、新作『桃太郎電鉄』。
 かなり次回作は大幅に変える予定なので、こうして綿密な打ち合
わせを何度も繰り返している。

 午後7時。土居ちゃん(土居孝幸)、宮路一昭くん、福ちゃん、
嫁の5人で、銀座の「紅虎餃子房(べにとらぎょうざぼう)」に入
る。
 10数品注文するこのデブ軍団もすごいが、注文された品をあっ
というまに持ってきた、「紅虎餃子房(べにとらぎょうざぼう)」
は、すごい! さらにそれを30分で食べてしまう、このメンバー
はもっとすごい!

 食後、喫茶店で、今後のゲーム作りの進行について、みんなで打
ち合わせ。
 桃太郎シリーズだけで、3本。
『さくま式人生ゲーム2(仮)』が、1本。
 iモード・ゲームが、3本。

 ほぼおなじメンバーで作っているので、スケジュール調整はしや
すいが、ちょっと飽和状態というより、この本数は異常である。
 しかもゲームだけの本数である。
 全員ほかの仕事もしている。
 異常ついでにいうと、実際に作っているのが、これだけの本数で、
来年、再来年にというゲームの話はいくつも来ている。すでに検討
中の話もいくつかある。

 こういうときに、メンバーの気持ちがバラバラにならないように、
みんなで意思統一をしておかないといけない。
 冗談言いながら、福ちゃんをからかいながら、真剣に討議。

 午後9時30分。帰宅。
 何だか青山通りの町並みが、やけになつかしい。

 ゆっくり休みたいところだが、見ての通りの異常スケジュールな
ので、このあともお仕事!
 

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