4月28日(金)


 午前10時30分。嫁と高円寺の整体さんに行く。
 きょうは健康のバロメーターである、後頭部の膨らみについて、
整体のお兄ちゃんからチェックが入る。
 よく太った人の後頭部と首の間がぷっくり瘤(こぶ)のように膨
らんでるのがあるでしょ? あれは太ってる場合もあるけど、スト
レスとか血行障害で膨らむことが多いんだって。
 私の場合、仕事量が増えると、ここが膨らんでくるそうなので、
注意しなさいよと言われる。
 困ったな。きょうから、京都でひとり合宿を始めるというのに。
 仕事量多いぞ。

 午後12時。整体さんのあとは、整体さんの真ん前にある、恒例
「ザボンラーメン」のたまごラーメンだ。

 午後1時。杉並区上井草の喫茶店「青柳」で、蔵人総合研究所の
赤根豊くんと待ち合わせ。
 赤根豊くんの自宅が上井草にあるからなのだが、その自宅は、元
うちの自宅である。

 この喫茶店で、抹茶セット。
「青柳」は、私が子どもだった頃、和菓子屋さんだった。
 私はここの「黄味しぐれ」が大好きだった。
 二念なく、抹茶セットにして、わざわざ和菓子を「黄味しぐれ」
にしてもらう。
     あまりの私の強固な態度に、嫁も赤根豊くんも「抹茶セットで、 黄味しぐれに!」と言ってしまうほどであった。  ああ! やっぱりこのお店の「黄味しぐれ」がおいしいなあ。  この「黄味しぐれ」で、ひとつマヌケなエピソードがある。  誰に教わったのか、私はこのお店の「黄味しぐれ」を、「きびだ んご」と覚えた。何でなのか? 誰に言われたのかもわからない。 「きびだんご」といえば、もちろん桃太郎である。  だから子ども心に、私は「うわ〜! 桃太郎さんについて行くと、 青柳のきびだんご(黄味しぐれ)がもらえるんだ〜! いいなあ!」 と強く思っていたのである。  まさかのちに、こうして桃太郎シリーズを作るようになるとは知 る由もなかったというやつですな。  そんなことを考えているあいだに、面倒な経営の話が次から次へ と始まる。  とはいえ横で、嫁と赤根豊くんの会話を聞いているだけなのだが、 小難しい単語や、数値の羅列で、後頭部が膨らんでくる思いだ。  だいたいお金の支払いが、末日ってのも変なものだ。  末日といっても、29日、30日、31日と3通りある。4年に 1度は、28日だ。  でもって、末日が土・日だった場合、銀行に支払いができないか らどうするかということをいちいち決めているようだ。  しかもそれが大金ならわかるが、電気代だったり、水道代だった りする。もうちょっと世の中、シンプルにことが運ばないものなの かねえ!  ヒマなので、私はiモード・ゲーム『さくま式奥の細道』のテス トプレイを始める。  あまりにも我田引水なのだが、こういうひまつぶしをするときに、 iモード・ゲームっていいねえ。はっはっは。  きょうはわれながら、いい記録が出てよろこんだりして。  自分のゲームでよろこんでりゃ、世話ないわい!  しかし自分で作ったゲームなのに、山形の山寺にまだ一度も寄れ ないのは、くやしいなあ。 「閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声」の句が手に入るはずなのに〜。  あの句は高額で売れるだけに、くやしいなあ。  今回は、松尾芭蕉の句を手に入れて、売ることができるんだよ。  午後4時。このあと銀行に行ったり、また喫茶店で打ち合わせを しているうちに、時間がなくなって、荻窪駅に着いたときには、ど うにも予め買っておいた新幹線の発車時刻に間に合いそうもなくな ってしまった。  時刻表で調べると、東京駅に着いた3分後に、新幹線が発車する。  3分というと間に合いそうだが、中央線が停車するのは、1番線 である。新幹線は14〜9番線にある。  いちばん遠いのだ。  遠い通路を、足の不自由な私が、疾走するさまは、日記的にはお もしろいのだが、疾走の前に、失速することは目に見えている。こ んなときにかぎって、VAIOを持っていたりする。  せいては事を仕損じる。  荻窪駅で、新幹線を1時間遅いキップに換えてもらう。  午後4時39分。東京駅着。ニッポンの鉄道は見事だ。新幹線の 発車時間は、午後4時52分の予定だった。きっちり3分だ。これ は怖かった。  逆に1時間も空き時間ができたので、嫁とのんびりお弁当を買っ て、いったん構内を出て、いつもの資生堂パーラーで、カフェラッ テ。ここで新しく買ったiモードの充電器を持ってくるのを忘れた ことに気がつく。明日嫁に宅急便で送ってもらうことに。  旅というのは、なにかしら忘れ物をしてしまうものだね。  午後6時。大丸の地下で、嫁と別れて、私はのぞみ63号で、京 都に向かう。  発車と同時に、崎陽軒のシウマイ弁当を食べる。  食べ終えると、急激に眠くなって、熟睡。  いつもならここから猛烈に仕事を始めるはずなのに、小難しい経 営の話を聞いて、疲れたのか、名古屋近くまで寝てしまった。  いつも新幹線のなかで、いいアイデアが浮かぶことが多いだけに、 なんだか損した気分。  午後8時14分。京都駅着。  さすがに京都も、暖かくなったなあ。  午後9時。京都のマンションに到着。  さっそく『さくま式奥の細道』の手直し箇所を書き始める。  5月1日から、配信開始なので、チューニングできるのも、あと 1回あるかどうかだ。確率を冒険してみたい箇所がある。これをや るか、やめるか。決断ひとつで、ゲームの印象が180度変わって しまうことがある。 『桃太郎電鉄』のキングボンビーのように、結果的に大成功だった 場合もあるし、『怪物パラ☆ダイス』のように、悩んだ末に変えた ところが、最大の致命傷になる場合もある。  へっへっへ。このピンチを楽しんでいる自分がいる。  たぶん変えるな、これは!  今夜はこの作業をずっとやって、インデックスさんに送るのは、 明日の午前中だな。  まずは、京都ひとり合宿GWシリーズの始まり、始まり〜。
 

-(c)2000/SAKUMA-