4月9日(日)


 さてさて。今年すっかりNHK大河ドラマ『葵・徳川三代』のマ
ニアになってしまった、わが家族は、きょうもまた『葵・徳川三代』
の旅にでかけるのであった。
 大垣城、関が原でも、『葵・徳川三代』のイベントをやっていたけ
ど、東静岡駅前でも『静岡葵博』というのをやっているのだ。
 新幹線で東京から静岡を通過する手前、右側にイベント会場が見
えるよ。来年の1月までやってるそうだから、この会場に行かなく
とも、一度くらい新幹線の車窓で眺めてみてね!

 午前11時。東京駅でキップを買って、地下の資生堂パーラーで、
サンドイッチにコーヒー。空腹を少し満たす。家族旅行のときは、
最近このパターンの旅行が多い。

 午前11時45分。ひかり153号で、静岡に向かう。
 車中、もちろん新作『桃太郎電鉄』のお仕事。
 文筆業は、絵を描く人とか、音楽をやる人たちと違って、どこで
も仕事ができるから、これだけは幸せだと思う。

 うひょひょ…。きょうも『桃太郎電鉄』シリーズの根底を覆すよ
うなアイデアが出たぞ! ゲーム初心者には、わからないような変
更点だけど、『桃太郎電鉄』マニアには、ゲームの必勝法がまったく
変わってしまうような、大変更だ。ふっふっふ。これで宮路一昭く
んは、次回作で私に勝てない!
 …って、味方を出し抜くようなアイデアを考えてどうする!
 いやいや。敵を欺くなら、まず味方からだ!

 午後12時45分。静岡駅着。
 東海道本線熱海行きの鈍行に乗り換える。
 ちょうど静岡から東京に戻るかたちになる。
 ひとつ目の駅が、きょうのイベント会場・東静岡駅。
 あれ? このバカ家族は、イベント会場で降りないぞ?

 東静岡駅の次は、草薙駅。
 あれ? まだ降りない。どこに行くんだ?

 草薙駅の次は、清水駅。
 清水駅で降りてるぞ、この家族は!

 会話は昨日に遡る。
 娘と私の会話だ。
「さくちゃん、明日春休み最後の日だから、ひとりで遊びに行って
もいい?」
「どこ行くんだ?」
「ひとりで山手線乗って、そのあとどこかわからない電車に乗って
帰ってくる!」
「おお! それはいいことじゃないか!」
「ホント!?」
「嫁と私は、明日清水のトロの美味しいお寿司屋行くから、よけい
好都合だ。ずんずん行って来い!」
「やだよ! お寿司のほう行くよ〜!」
「来なくていいよ〜!」
「お寿司のほう行くよ〜!」
「♪知〜らない町を 歩いてみ〜た〜い! 遠くへいきたいの旅に
行っておいで!」
「お寿司のほう行くよ〜!」

 というわけで、けっきょく家族3人で、清水の美味しいお寿司屋
さん「末廣寿司」に行くことになってしまった。
このお寿司屋さんは、以前からトロが死ぬほど値段が高いけど、
美味しいという噂があって、一説にはひとり10万円ぼったくられ
たという、とんでもない噂を立てられたようなお店だ。
 昨年恐る恐る行ってみて、すべてが噂にすぎないことを知った。
 値段も安いし、接客も悪くは無いし、唯一噂通りだったのは、ト
ロの美味しさだけである。

 というわけで、早いうちに、2度目を行きたかったのだ。
 そういう意味では、『葵・徳川三代』のイベントを見るついでと
いうのは、かなり大義名分である。

 とにかく、わざわざ東京から清水まで、来るほどだから、この
「末廣寿司」の味はとびきり!
 ウニは今まで食べたどこのお寿司屋さんのよりおいしかった。
 ひらめのえんがわは肉厚のぷりっぷり!
 穴子は、2種類。ひとつは、甘ダレをつけたあと、海苔を巻いた
ままで食べる。これが絶品! どうしてお寿司屋さんの海苔って、
おいしいんだろうねえ!
 もうひとつは、白焼きの穴子の上に、ちょこっとすったユズが乗
っている。むふふの味だよ。
 穴子マニアの石井正則夫妻に教えてあげたかったなあ!
 お寿司屋さんはどうもひとつひとつをデジカメしづらいからなあ。
 もうちょっとこのお店の人となかよくなったらできるんだろうけ
ど。清水市のお寿司屋さんとなかよくするのは、難しいぞ! 昔、
函館のお寿司屋さんとなかよくなったけど!

 午後3時。ようやく東静岡の「静岡葵博」へ行く。
 大垣城の『葵・徳川三代』イベントの規模に比べると、広いんだ
けど、しょぼい!
     出展の出店も、ほとんど静岡名産の物を売ってるだけで、全然 『葵・徳川三代』にひっかけていない。  TVのほうで、伏見城陥落のときにつかったセットがあったのは よかったんだけど、そこで観た、立体メガネをかけてみる7分間の 映像が陳腐をそのまま映画にしたようなお粗末さ。まるでカラオケ の歌詞カード用映像とどこも違わない。  なんたって、足軽が茶畑で恋をするという陳腐なメロドラマなの だから、がっくりくる。
     ただ、タイムトリップシアター「駿府夢現館」のほうで、流した 9分間のコンピュータ・グラフィックスは、「へ〜、こういうCGの つかい方もあるのか、盲点だったなあ! これならゲームにもつか えそうだなあ!」と思えるほどの出来。この映像を見るためだけに、 もう一度ここに来てもいい。  もちろんお寿司屋さんにも寄るけど。  まだお寿司屋さんの余韻にひたってるんかい! はい、その通 り!  というより、これがなかったら、ちょっと怒った!  怒ったわりには、安倍川餅を食べることは忘れない。
     午後4時。シャトルバスで、静岡の駿府城会場へ向かう。  午後4時20分。駿府城会場に到着。おいおい! シャトルバス なのに、何で会場から遠い所に停車するんだよ! もっと会場の入 り口まで行けるでしょうが! こっちはすでに東静岡会場を歩いて、 へばっているんだぞ!  …などと、文句を言ってる場合じゃない!  駿府城である。  あの徳川家康が、徳川秀忠に家督を譲ったあと、10年間政治を ここで行ったあのお城である。
     お城というからには、階段が待っていた。  会場は、お城のなかだったあ!  うへ〜。へばった足に、お城は疲れるよ〜。  ほ〜ら。やっぱり!  ぐるぐる城内を回る。  板の間を歩く。  急な階段を昇り降りする。  へばってるせいで、城下町の巨大パノラマなどが展示されていた が、ほとんど頭に入っていない。かろうじて、家康が幼少時代、竹 千代と名乗っていた頃、勉強につかっていた部屋を再現したところ を覚えている程度だ。
      さすがに昨日、1時間以上歩いてへばった後遺症がまだ残ってい るときに、砂利道の多い、お城を歩いてはいけない。    午後5時。静岡駅。へたりこむ。行きの新幹線で、三島駅から乗 ってきたお客さんが買っていた、「桜海老弁当」を探したのだが、 静岡駅には売っていない。駅をくまなく探したかったのだが、もう 動けない。  ひたすら新幹線の出発時間までじっと待つ。  よっぽどへばってる。  午後5時34分。ひかり162号。  新幹線に乗って、10分もたたないうちに、熟睡!  ほとんど新幹線が品川あたりを走る頃に目覚める。寝すぎだ〜。  午後6時35分。東京駅着。  大丸デパート地下のお弁当公園で、グルメ・バカ娘推薦の、けや き弥の「栗林」を買い求めるも、栗の季節が終了したのか、売って いない。  それぞれ、まいたけ弁当、幕の内など、買って帰る。  午後7時。帰宅。  お弁当を食べるが、あの美味しいことで定評のある、けやき弥の お弁当なのに、美味しくない。ふだん「栗林」以外でも美味しかっ たのになあ!  午後8時。NHK『葵・徳川三代』を観る。どうだ! この無駄 の無い時間の割り振り! イベントの企画をやらせたら見事でし ょ!というくらい、朝から晩まで、1日じゅう『葵・徳川三代』だ!  誤算は昨日に続き、へばりすぎ。  さすがに日記を書くのが、つらい!  風呂入って、寝る!
 

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