3月26日(日) ふごふご…。 花粉症1年生としては、本当にいま花粉症なのか、風邪なのかが わからない。 ただひたすら鼻水がたれる。ちゅるるる……。 朝から新作『桃太郎電鉄』の仕様書作りを始めるが、少しキーボ ードを叩いては、ティッシュペーパーで鼻をかむ。 この繰り返しで、鼻がひりひり。 午前11時。TBSラジオ『有限会社 桃太郎商店』では、ガー ター刑事として、アリtoキリギリスのライブでは演出家としてお なじみの河野靖(かわの・やすし)さんが車で、わざわざ迎えに来 てくれた。 きょうはこれから、川崎球場まで、プロ野球のオープン戦を見に 行くのだ。 川崎球場といえば、かつて横浜ベイスターズが大洋ホエールズと 名乗っていた頃の本拠地であり、大洋が横浜に移ったあとは、ロッ テ・オリオンズが、本拠地にした。 その川崎球場が今度取り壊しになる。 なので、きょうのオープン戦は、ロッテ対横浜ベイスターズ。 私にとっての川崎球場は、さすがに遠い存在だった。 小学生の頃のことだったから、当時杉並区から川崎球場まで、ナ イターを見に行くことなど不可能だった。とても家まで帰り着けな い。 だから私はあれほど熱狂的な横浜ベイスターズにもかかわらず、 川崎球場を訪れたことが一度もなかったのだ。 むしろ『巨人の星』の左門豊作が、漫画のなかで、大洋ホエール ズの選手として登場していたので、左門豊作の川崎球場のイメージ が強い。 午後12時。川崎球場に着くが、駐車場は満員だし、何100メ ートルにもわたって、長蛇の列ができている。 駐車場を探すも、なかなかないので、ロイヤルホストに停めて、 お昼ご飯を食べることにした。 私と、嫁と、河野靖さんの3人。 私はロイヤルスペシャルカレーを食べる。1週間前、京都に行く ときに食べたのとおなじカレーだ。なんだかふりだしに戻った気分。 なにしろきょうのこの日のために、京都合宿を打ち上げて、帰っ てきたのだ。 午後1時。川崎球場に着く。 関係者受付で、チケットを受け取る。 河野靖さんが、入手困難なチケットを手に入れてくれたのだ。そ の入手先というのが、ジョニーさんから。ジョニーさんだけでわか ったら、相当な野球マニアである。 な、な、なんと、河野靖さんは、ロッテのジョニーこと、黒木投 手にこのチケットを都合つけてもらったそうなのだ。河野さんは、 ロッテの選手に知り合いが多くて、自主トレにも参加したこともあ るという不思議な人。 なんとも豪勢なチケットだ。 ここで、もうひとり待ち合わせ相手を待っているのだが、なかな か到着しない。その相手とは、つぶやきシローくんである。あのお 笑い芸人のつぶやきシローくんだ。 ここで携帯電話が鳴る。 ナムコの岸本好弘さんからだ。すでに奥さんと球場のなかにいる そうだ。岸本好弘さんは、大のロッテ・ファンだからね。球場で落 ち合うことになっていた。 さて、つぶやきシローくんが寝坊して、まだ到着しないようなの で、私たちは先に球場に入ることにした。 球場に入ると、これが満員なんていうもんじゃない。通路に人が あふれかえっている。チケットはあるんだけど、オープン戦なので、 座席指定がない。 一塁側の横浜ベイスターズ側はすでに超満員。 ロッテ側の三塁側なら、まだ席が空いているので、移動しようと したのだけれど、あまりの人ごみに、私の左腕と左足が縮んで、固 まる! 手足が縮むと、とにかく歩けなくなる。 無理に歩くと危険なので、横浜ベイスターズ側の外野席の空席を 見つけて、とにかく嫁と座る。河野さんは、ロッテ側へ。 けっきょく分かれて座ることに。 午後1時30分。バックスクリーンが開いて、鼓笛隊が現れて、 さよなら川崎球場のセレモニーが始まる。 川崎市長の挨拶などあって、始球式。 始球式は、往年の大洋の大投手・平松投手に、土井捕手。バッタ ーに、現ロッテ監督の山本弘児さん。ちょっと地味なオープニングで始まったけれど、試合のほうがま るで花火大会。いきなり横浜ベイスターズのマシンガン打線が炸裂 して、5点をもぎとったかと思うと、斎藤隆が満塁本塁打を打たれ て、逆転される。 この時点で、実は私と嫁は球場をあとにした。 ものすごくいい天気だったのに、私と嫁が座ったところだけ、ち ょうど日陰になっていて、むちゃくちゃ寒い! 風も吹いてきてい て、とてもじゃないけど、耐えられない。どうりで、満員なのに、 この一角だけ、席が空いていたわけだ。 ただでさえ、風邪だか、花粉症だか、わからない状態なので、大 事を取って、河野靖さんの車を置いた、ロイヤルホストまで戻る。 途中、コンビニにおもしろい張り紙が貼ってあった。 「さよなら川崎球場! ありがとうロッテ・オリオンズ、ありがと う大洋ホエールズ」 横浜ベイスターズでなくて、大洋ホエールズっていうのが、泣か せるねえ。 とにかく私は念願の川崎球場を見れたことで、大満足。 次は、静岡の草薙球場を見に行かないと。 生きてるうちに、横浜ベイスターズゆかりの球場はすべて足を運 んでおきたい。 午後4時すぎ。河野靖さんと、つぶやきシローくんが、ロイヤル ホストに来る。 つぶやきシローくんとは、初対面。 試合のほうは、あれからロッテの打線が大爆発して、10本の本 塁打が出たという。ってことは、横浜ベイスターズの大敗? あり ゃまあ! まあ、オープン戦だから、勝敗は気にしていないものの、 ひどいありさまだねえ。 22対6? わっはっは。笑うしかないや! ナムコの岸本好弘さんも呼ぼうと思って、少し前に電話を入れた ら、岸本好弘さんは、9回終了以前に球場を抜けて、会社に向かっ たという。休日なのに、出勤しないといけないそうだ。 これを聞いて、くやしがったのが、つぶやきシローくん。 熱狂的なファミスタ・マニアだそうで、ファミスタの製作者であ る、岸本好弘さんに会えるというので、来ていたのだそうだ。 そのくらいだから、つぶやきシローくんの野球の知識はなかなか のもの。岸本好弘さんといい、河野靖さんといい、私よりも野球に くわしい人が、世の中にはたくさんいるものだ. 自分では、この世の中で100番目くらいには、野球にくわしい と思って生きて来たのだが、こんなに身近に、私より濃い野球マニ アが生息している。世間は広いものだ。 ロイヤルホストで、延々野球の話をしていたら、気づいたときに は、午後6時30分を過ぎているのではないか! なんという野球 マニアたち。 午後7時30分。わざわざ帰りまで河野靖さんが車で、自宅まで 送ってくれたので、自宅からいちばん近い居酒屋さん「東の十七」 でいっしょに食事することに。 食事になると、どういうわけか、グルメ・バカ娘がしっかり、こ のお店に到着する。どうしていつもこうして、食事時間に間に合う のか? このガキは。 午後8時30分。私の花粉症がひどいので、自宅に戻る。河野さ んはそのまま仕事場に向かう。 あ〜、鼻が御茶ノ水博士みたいに、ふくらんだ気分だ。 嫁を毎年見ていて、花粉症にだけはなりたくないなと思っていた のだが、ついになってしまった。想像していたよりもひどい症状だ。 早く特効薬が完成してくれい! 日本中の杉を伐採してくれい! ひのきもか? 花粉症のせいで、集中力が著しく低下している。物事を考えるの がつらい。決断力が恐ろしいほど鈍っている。 ティッシュペーパーが、1日で1箱なくなった…。 うらめしや、花粉症!
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