2月17日(木)


 ここ数日、ゆるやかなスケジュールな日が続いて、うれしい。
 昨年暮れからこっち、ちょっと毎日が忙しすぎた。
 徐々にもっとスローペースにして行きたいものだ。

 午前10時30分。高円寺の整体さんに行く。
 みっちりやってもらったせいで、スポーツのあとの身体のように
ぐったりする。眠い。

 午後1時。環七を北上して、このあいだから行きたかった、豊玉
のおそば屋さん「明月庵田中屋」に行く。
 おいしいおそば屋さんとして、どのグルメ本にものっているお店
だ。学生時代この近辺を徘徊していたのだが、当時はグルメではな
いから知る由もなかった。
 嫁とふたりで、かき揚げの天せいろに、玉子焼きを注文する。
 おそば屋さんの玉子焼きである。そば汁の出汁をたっぷりふくま
せて焼く、玉子焼きは、お豆腐のようにやわらかくて、噛むとおつ
ゆがしみ出て甘い! この甘さは、おそば屋さんの玉子焼き特有の
ものだ。
 ひさびさにおいしい、おそば屋さんの玉子焼きに出会った。
 おそばのほうも、こしがあって、弾力もあるいい麺だ。
 おつゆとのからみ方もいい。
 かき揚げがおいしいので、困った。天ぷらは、半分くらい残すつ
もりだったのに、食べたい! 必死に4分の1だけ残した。
 今度来るときは、私と嫁で、かき揚げをひとつ頼んで、せいろを
多くしようと、早く次回のための作戦会議に入る。何と言われよう
と、こういうことを真剣に討議する夫婦である。子どももそうだ。

 この田中屋は、銀座にもあるそうで、距離から言ったら、銀座の
ほうが近い。たぶんそっちも行くことになるだろう。唯一の欠点は、
こんなにおいしいおそばを打っているのに、お水が見事なまでに、
水道水の味だったことだ。銀座店で、水道水は出せまい。

 午後2時。並びの喫茶店「らぴす」サンで、ココアを飲んでから、
帰宅。
 そして、読書だ!
 めったにつかわない単語「そして」をつかっちゃうよ!
 そのくらい昼間から読書できる喜びに浸る。
『ニッポン・あっちこっち』(安西水丸・家の光協会)を読む。
 うれしいねえ。あわてずに本が読めるってことが。
 この半年くらい、寝る前に仕事の資料となる本しか読んでいなか
ったからなあ!

 午後4時。穏やかな日をさらに事故演出するために、美容室「ヘ
アストリート」に行く。美容室はのんびりできる空間だ。店の女の
子たちが続々iモードに切り替えていて、『さくま式東海道五十三次』
を始めたようだ。
 最近私を知る人のあいだでは『桃太郎電鉄』の話題より、『さくま
式東海道五十三次』を話題にしてくれる人のほうが多い。
 そういう時代なんだろうなあ。
 
 午後6時。原宿の新しい和風料理屋に挑戦しようと思って、電話
番号がわからないので、美容室の帰りに寄ったら、本日はすでに満
員とのこと。
 あれ? カウンター席はまったく、ガラガラだったのに。7時過
ぎから混むのかな?
 ということを、嫁に電話すると、グルメ・バカ娘が「EDOYA(え
どや)」に行きたがっているという。そういえば昨日もそんなこと
を言っていたな。
 というわけで、タクシーで嫁とグルメ・バカ娘を拾って、麻布十
番に向かう。
 しかしこの車中で、私はとんでもない事実を聞くはめになってし
まった。私が嫁と、原宿の新しい和風料理のお店に行く、行かない
を何度か電話でやり取りしたとき、横で、グルメ・バカ娘は「満員
になれ! きょうはEDOYA(えどや)に行きたい!」と念じていた
そうである。
 あな恐ろしや、やっぱりわが娘は、グルメ・貞子なり! お〜ほ
っほっほっほ〜!

 午後7時。麻布十番「EDOYA(えどや)」に行く。
 ポタージュスープがおいしい! スペアリブもおいしい。
 このお店に来ると、ついつい単品でいろんなものを注文してしま
う。ガーリックパンも注文してしまう。香ばしい焦げ目だ。
 きょうはビーフカレーを初めて注文してみる。
 ハヤシライスのような味のカレーだ。変わってるなあ。
 カレーと思うと、ちょっと何だけど、ハヤシライスっぽい食べ物
だと思うと、やっぱりおいしい。
 やはりこのお店は「ニッポンの正しい洋食屋さん」の異名通りの
お店だ。

 午後8時。帰宅。
 きょうも『桃太郎電鉄V』の反省プレイ。
 次回作は、そろそろ過激な内容にする決意が固まって来た。
体力、知力、老眼といった問題で、あと何作『桃太郎電鉄』を作
れるのかわからなくなって来たから、そろそろやり残して温存して
おいたネタを繰り出すかなと思っている。
 
そんなことを考えながら、おだやかな日を満喫する。 
 

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