１月２６日（水）


　朝から、悶々と『さくま式人生ゲーム2（仮）』のメッセージ作り。
　とてもきょうの会議に間に合いそうもない原稿を書いているくら
いつらいものはない！
　放送作家の福本岳史くんと、私が書いている『さくま式人生ゲー
ム2（仮）』のメッセージ作りは、大幅に遅れているのだ。

　もともと私の仕事っぷりを見たことのある人なら、私が原稿を遅
らせたことがないことを知っているので、何事が起きたんだろう
か？と、びっくりしているに違いない。

　その理由を説明しよう！
『さくま式人生ゲーム2（仮）』を始めるに当たって、私は前回大
変だった職業別メッセージを外そうとした。
そこへ今回初参加で、意気盛んな福本岳史くんが「あのメッセージ
が無いと、ゲームの雰囲気が伝わらないと思いませんか？　絶対必
要ですよ！」と、熱血ドラマの主人公のように、主張したのである。
デブなのに…。

「福ちゃん！　君の意見は正しいけど、それやるとホンとに死ぬ
ぞ！　簡単そうに見えて、これほどつらいものはないぞ！」
「でも、やっぱり必要だと思うんですよ！」
「福ちゃんが、いっぱいメッセージ書くというなら、やってもいい
けどね！」
「がんばります！」

　半年後…。
　かくて、福本岳史くんは、ま〜〜〜〜〜〜ったく、私に頭が上が
らないのである。

「だから福ちゃん、大変だって言っただろうが！」
「福ちゃん、もっとメッセージたくさん書けよ！　君が絶対必要だ
と言ったんだぞ！　ちっとも埋まってないぞ！」
「福ちゃん、文章甘いよ！　もっと絵が想像できる文章にしてくれ
ないとつかえないよ！」
「２４種類の職業、１〜５コーナーに、８つずつメッセージが入っ
て、ラッキーマスとデビルマスの２パターンがあるから、９７０ブ
ロックのメッセージね！　さらに転職できる職業があるから、あと
３００メッセージくらい追加ね！」
　正論は、必ずしも、名案ではないことを、今回彼は骨の髄まで覚
えこんだことだろう。
　
　午前１１時。ひさびさにナムコの岸本好弘さんが来る。
　今年最初のご挨拶がてら、ビデオを受け取りに来たのだ。
　『葵・徳川三代』の第1回放送分。日記を見て、ビデオがひょっ
としたら、わが家にあるのではと思って、先日連絡が来た。ちょう
どビデオを上から重ね録りする前だったので、あげましょうという、
学生みたいな会話。

　さらに、正論男・福本岳史くんも来る。

　午前１１時３０分。近所の「おけいずし」に行く。私、嫁、岸本
好弘さん、福本岳史くん。
　食い道楽の岸本好弘さんに、おけいずしの味を感動されると、と
ってもうれしい。別に私がおけいずしのオーナーじゃないのにね！
　もちろん、福本岳史くんは叫び声上げて歓喜していたけど、彼は
通常が、回るお寿司屋さんだからねえ。リトルリーグのエースが、
プロ野球の打者に片手打ちで、ホームラン打たれたようなもんだ。
驚いて当たり前！

　午後１２時。「トゥ・ザ・ハーブス」でお茶。

 
　　　　　　岸本好弘さん　　　　　　　　　　　　　　福本岳史くん

　岸本好弘さんも、現在iモードゲームを作っているので、iモード
の話になる。やっぱりiモードゲームは今、びっくりするようなゲー
ムが出現しやすい環境にあるという話になる。
　ただ企業としてやるには、利益が少ないと言う話に。
　確かにそうだと思う。
　料金体系とかが変わるだけで、今のゲーム業界がひっくり返るく
らいのメディアになる可能性を持っているんだけどなあ。
　もったいないなあ！
　今のところ、私のような個人商店でないと、たいした利益が出な
い。言ってみれば、私がiモードのゲームを作るのは、喫茶店を１軒
出したようなもので、ナムコのような大企業にとっては、喫茶店が
１軒増えたところで、会社全体の利益を大幅に上げるほどではない
ということだ。
　ゲーム業界は、まことに大きな曲がり角に立っている。

　午後１時。帰宅。
　福本岳史くんと『さくま式人生ゲーム2（仮）』の打ち合わせ。
　
　午後２時。『さくま式人生ゲーム2（仮）』の打ち合わせ。メンバー
は、タカラの高田さん、土居ちゃん（土居孝幸）、ＶＲ−１の荒堀明
弘くん、福本岳史くん。
　宮路一昭くんは、昨日から家族全員風邪でダウンで、参加できず。
　それから、3月いっぱいで、高田さんが退社というので、ＣＳ事業
部統括マネージャーの板垣耕三さんが見えられて、ご挨拶。さらに、
新担当の大草俊一さんが、初参加。

　会議のほうは、このところゲーム内容が見えてこなくて、いらい
らしていた私と福本岳史くんにとっては、とってもいい結果に。
　最新ロムが、前回よりもはるかに完成部分が増えて、ゲーム内容
がどうなるかようやく見えてきた。
　敵の兵をひとりも見ないで、敵がどこから攻めてくるだろうとい
う評定会議を繰り返していたみたいで、けっこう煮詰まっていたの
だ。
　
　内容が見えたおかげで、福本岳史くんには、先の大量の職業メッ
セージに、加えて、結婚イベントのメッセージまで作らないといけ
ないことが判明して、福本岳史くんは、ひきつった笑い顔になる。
「福ちゃん！　結婚メッセージは重要だよ！」と、みんながツッコ
ミを入れる。福本岳史くんのせいで、職業メッセージが増えてしま
ったことに対する、意趣返しである。はっはっは。
　とどめは、荒堀くんに「それで、福本さん、原稿はいつごろに出
来上がるでしょうか？」「うぐっ！」。
「うぐっ！」という擬音は、どういう意味でしょうねえ。

　というわけで、福ちゃんの原稿の締め切りは、次回2月１８日の
会議の日です。間に合うのか、土下座するのか、みなさん、楽しみ
に待ちましょう！

　午後６時。『さくま式人生ゲーム2（仮）』の会議終了。
　引き続き、土居ちゃん（土居孝幸）と、福本岳史くんが残って、
来週後半の京都合宿の打ち合わせ。

　午後７時。家族３人と、土居ちゃん、福ちゃんの５人で、麻布十
番「紅虎餃子房（べにとらぎょうざぼう）」に行く。
　食事をしながら、今後の打ち合わせ。
　こんなに忙しいのに、まだ福ちゃんはもっと仕事がしたいようだ。
めげないやつだなあ！　土居ちゃんと私は、もうそろそろ隠居した
くなっている。

　午後８時。「紅虎餃子房（べにとらぎょうざぼう）」の前の喫茶
店「ウインザー」でお茶。福ちゃんがここのお店は自分が全部出し
ます！というので、私と土居ちゃんは、なんとか数万円飲み食いし
てやろうと思ったのだが、しこたま餃子を食べてしまったので、そ
れができない。
　けっきょく私も土居ちゃんも、ブレンドコーヒーという不甲斐な
い結果になってしまった。残念！

　午後９時。帰宅。ここで手を休めてはいけないので、引き続き
『さくま式人生ゲーム2（仮）』のメッセージ作り！　早く完成させ
ないと、２月には、おなじみのゲームに着手しないといけないのだ。

　今月いっぱい『さくま式人生ゲーム2（仮）』の文字ばかり並ぶよ。
福ちゃんがたくさん働くと、この文字は消えるよ！　福ちゃんに励
ましのおたよりを！