1月19日(水)


 京都のマンション。
 昨日録画しておいた『イマジン』を見る。アリtoキリギリスの
石塚義之くんが出ているからなんだけど、セリフが少ないなあ。ま
だまだ世間は石塚くんの天才ぶりを知ることができないんだなあ。
まあ、何より石塚義之くんが単独で出演する機会が増えて来たこと
はいいことだ。
「今が買いってことですよ、石塚くんは!」

 午前10時30分。京都駅伊勢丹B2で、前から一度食べてみた
かった、「はつだ」の特製牛肉弁当を買う。かなり一部の愛好家た
ちには熱狂的に受けているお弁当なのだ。1300円もするのは
ちょっと高いかも。

 午前11時10分。のぞみ10号。
 乗ってすぐ、「はつだ」の特製牛肉弁当を開く。
べんとう
 ごくありふれた牛肉弁当である。  大きさもどちらかというと、小さくて、量が少ない。  まあ、とにかく食してみよう。  ぱくぱく。もぐもぐ。  ぱくぱく…。もぐもぐ…。  むむ! これは!  この肉は…!  甘い! やわらかい!  なんとも、こしゃくなやつめ!  牛肉の下に、しゃきしゃきしたキャベツが敷いてあるだけ。  お新香も申し訳程度にしかついていない!  こやつ、素人のふりした、プロだな。  剣豪でいう、手練れ者ってやつだ。  上手さが決して表に出ない。  とにかく、うまいぞ! ぱくぱく。  おいしいぞ、ぱくぱく。  ご飯に肉汁のしみ込み方が、べちゃべちゃしすぎないで、いいぞ!  おおーーーーーっと! 危ない!  すっかり腹八分目作戦を忘れて、たいらげてしまうところだった。  駅弁は量が少ないからいいかなとも思ったが、心を鬼にしてやめる。  う〜む。また美味しい物をひとつ見つけてしまったなあ。  午後1時24分。東京駅着。雨が降っている。九州旅行中は、本当 に快晴に恵まれて、どうしてこんなに毎回晴れるんだろうというくら い天気がいい。万が一を考えて持っていくコートがいつも邪魔になる。  午後2時。自宅の並びの喫茶店「らぴす」サンに直行。嫁がすでに 先に行っている。「らぴす」サンのコーヒーを飲むと、東京に帰って きたなあという気分になる。最近儀式化してきた。  家に帰ると、たくさんメールが来ていて、テレビ長崎の山本耕一か らも来ていた。  私たちが帰った次の日、彼女に会って、私たちと会ったときのこと を話していたら、急に涙が止まらなくなってしまったそうだ。  そのカクテルバーのカウンターで泣きじゃくる山本耕一の手を、彼 女は黙ってギュッと握っていてくれたんだって。  今度はこっちが泣けちまうなあ。  戸田圭祐がこれを読んで、悔しがる様が目に浮かぶなあ。  このメールはショッカーO野くんにも送ってあげよう。  なんてことを思っていたら、「さくまにあ」の7万カウント目は、 山本耕一が踏んだそうだ。ありゃ。人間ツキ出すと止まらなくなるも んなんだなあ…。逆もそうだけど。  午後3時。自宅で、桃太郎チームの会議。  メンバーは、土居ちゃん(土居孝幸)、ハドソン桃太郎事業部の梶 野竜太郎くん、国政修くん、宮路一昭くん。  先週の『桃2000(仮)』をどうするかという問題なのだが、な んとか年内発売という部分で、私が難色を示す。昔だったら、寝ない で作ってしまうのだけれど、もう年齢が年齢なので、できるのかどう か心配というより、無謀に近い。  その辺をどうするかという問題。  土居ちゃんもにっこり笑って「自信ないなあ!」とはっきり。    でもけっきょくやってみないとわからない。  ごくあたりまえの結論になってしまった。  完全に納得したわけではないのだが、桃太郎シリーズの新作という のは、魅力的ではある。それだけにおもしろいものにしないといけな いのが、つらいところだ。  この新シリーズ、じっくり育てていって、いつか『桃太郎電鉄』『桃 太郎伝説』と肩を並べるシリーズにしたい。そのくらい大化けする因 子を持っている内容なのだ。 深く言えないのだが…。 まあ、もうちょっとしたら、もう少し具体的な話になることだろう。   午後6時。ビーアールサーカス出版の新見和明さんが来て、あの伊 賀上野まで私が会いに行った、西岡たかしサンのニューアルバムのサ ンプル盤を持ってきてくれた。うれしいなあ。  さらに私の日記に載っていた、長崎のカステラ屋さん「松翁軒」の 本を、前に、新見和明さんが作ったことがあるそうで、その本まで いただいてしまった。意外な繋がりというものがあるのだなあ。    午後7時。近所の自然食のお店「ナチュラルハーモニー」に行く。  メンバーは、土居ちゃん、梶野竜太郎くん、国政修くん、宮路一昭 くん、嫁、グルメ・バカ娘、福本岳史くん。  おや? いつのまに、放送作家の福本岳史くんが!    すっかり重役出勤で、このお店から合流して、ゴチになるってこと は、「もうそんなに仕事したくないんじゃないの? 仕事減らしてあ げようか!」と、みんなにいじめられる、福本岳史くん! 「そ、そ、そんなまだたくさん仕事したいんだから、かんべんしてく ださいよー!」 「そういうやつにかぎって、売れると恩を忘れるからなあ!」 「ま、待ってくださいよー!」  恒例の業界儀式である。  冗談めかして、先輩たちが後輩に、業界のしきたりを教えていく。 「売れると、昔の恩を忘れるからなあ」というギャグを聞いて、「忘 れてもいいんだ」と思ってしまったら、さあ、大変なのである。  こういうときの業界人の結束の固さは見事である。  あっというまに噂が広まって、だれも仕事をくれなくなる。  こわい業界だ。  午後9時。帰宅。  虚匠、おっと間違えた巨匠・福本岳史くんだけ残って、打ち合わせ。 『さくま式人生ゲーム2(仮)』と『桃2000(仮)』をとにかく中 心に仕事を進めて行こうと話し合う。世間が売れっ子だと思った頃から、 しっかり原稿も完成させていかないと、風当たりが強くなるよという会 話も。  さてさて、今後どうなるかがお楽しみ。  う〜む。それにしてもけっきょく『桃2000(仮)』の仕事を引き 受けちまったなあ。梶野くんにうまいことだまされたな。はっはっは。 うまいことだましてくれたら、フリーなんてもんは意気に感じて仕事し てしまうものだ。
 

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