1月17日(月)


 午前5時。長崎マジェスティックホテルで起床。
 なかなかコンパクトで、ナイスなホテルだった。
 今度長崎に来たときも、このホテルでもいいかな? 部屋からの
見晴らしがとにかくいい。

 午前8時30分。ホテル1Fで、ショッカーO野くん、戸田圭祐
の3人で、洋風雑炊モーニングを食べる。
朝食 朝食
 昨夜ショッカーO野くんは、テレビ長崎の司会・ディレクターで ある山本耕一とけっきょく午前2時近くまで飲んだそうである。  O野くんは相当うれしかったようで、朝もずっと「耕一が本当に 本当に、さくまサンに感謝してましたよ〜!」と言いながら、目を 潤ませていた。私よりずっとショッカーO野くんのほうが、愛の鞭 を山本耕一に与えていただけに、何倍もうれしかったと思う。  愛の鞭も、こうして山本耕一のように大成してくれないと、ただ のいじめと思われてしまう。本来見込みの無い人間には、愛の鞭は 与えないものなのだが、それを誤解して、逃げて幸せをつかめない 人間がどれだけ多いことか。  ショッカーO野くん曰く、そういうのを「愛の無知」というのだ そうだ。  うまいね、あいかわらず。    午前9時。グラバー園の前で、ショッカーO野くんとはお別れ。 きょう彼は東京に戻って、夕方からラジオの録音である。
大浦
 さて私と戸田圭祐はどうするか?  戸田圭祐は、サラリーマンだから、本来きょうは月曜日なので、 会社は休みではない。例の2000年問題で、元旦出勤したので、 きょうが振り替え休日なのだ。  だからまた明日から会社に出ないといけない。  ってことは、あんまり寄り道をせずに、大阪まで帰るということ だ。    しかしこの日記を読んでいる人なら、うすうすはっきり! 気づ いていることだろう。私と戸田圭祐だけになると、前進また前進、 迂回に迂回を重ねてしてしまうことを! ふふふ。そんなに大きく 寄り道なんかしませんよ。  何たって長崎にいて、今日中に大阪に帰らないといけないのだから。  と言いながら、まずグラバー園に入る。  もう何度もグラバー園には来ているので、実はグラバー園に用は 無い。ベルトコンベアーのエスカレーターがあるから、とりあえず 上のほうまで行って、港の景色はながめるけど、先を急ぐ。
グラバー グラバー
 実は、グラバー園を訪れた人が必ず通る、最後の場所「長崎伝統 芸能館」が見たかったのである。  ここで有名な長崎くんちのお祭りを巨大スクリーンで見せてくれ るのだ。  毎年10月7〜9日に開催される「長崎くんち」。  あのテレビで見る、竜をみんなが棒で持って、ぐるぐるとぐろを 巻きながら動き回るあのお祭りである。  ところがきょう見て初めてわかったのだけれど、あの竜の踊り以 外にも、けっこういろんな種類があるようなのだ。大きな鯨に、台 車が付いていて、それを岸和田だんじり祭りのように引き回す山車 があったり、出初式みたいなものもあって、子どもが梯子の上で、 扇を回す。
くんち くんち
 お神輿を10人ぐらいでかついでいて、いきなりそのお神輿を空 に向かって飛ばす過激なものまである。お神輿を胴上げするときに 「コッコデショ! コッコデショ!」と声をかけるのがおもしろい。  今後『桃太郎電鉄』シリーズのオープニングは、お祭りシリーズ を考えているので、この「長崎くんち」もそのオープニング候補と して、キープすることにした。  このあと長崎駅のほうに出て、お土産を買う。  私がお土産の買い方は、例によって邪道である。  変なものから順に買い、なおかつ美味しくないといけない。  きょうは、餃子パイを買った。たぶんまずいだろう…。
松翁軒
 松翁軒のチョコラーテを買う。何回か長崎でお土産にカステラを 買った人は、そろそろお土産をこのチョコラーテにすべきである。  長崎が初めてという人は、カステラか、びわゼリーね。  長崎皿うどんと、ちゃんぽんも必ず売ってるけど、麺だけで、あ のとろみのある野菜とかは自分で調理しないといけないので、うっ かり買うと面倒なことになる。  今回初めて、レトルト・タイプの皿うどんと、ちゃんぽんを買っ たので、数日後のレポートをお楽しみに! まずかったら、口ごも る予定。  午前11時25分。諫早駅。
諫早
 長崎駅から、諫早駅。順当な道のりである。  諫早から、そのまま博多駅まで行けばいいわけだし、ちょっと寄 り道したいなら、大村のほうに行ってもいい。佐世保のハウステン ボスまで行ってしまうと、とてもきょうじゅうに大阪まで戻れなく なってしまう。  そこで私と戸田圭祐は、島原鉄道に乗ることにした。 そっちは、大阪方面とまったく逆の方向でしょうが〜〜〜! 午前11時29分。島原鉄道諫早駅。加津佐行き。  はっはっは! そう簡単にお行儀よく帰るわけないでしょうが!  小学校の帰り道「おまえ何でこっちのほう歩いてんだよ、家は逆 のほうじゃないか!」とよく言われた私が、おめおめとまっすぐ帰 るわけがない!  黄色い1両編成、1両だから編成じゃないな。意外と新しくてきれ いな電車はのろのろと諫早駅を出発する。さっそく有明海が左手に 見えてくると思ったのだが、けっこう畑だらけのところをごとごと 走る。ちょっと景色がつまらない。  20分ほど走っていると、大きな海が見えてきた。  あれがムツゴロウの干潟を埋め立ててしまった水門かな?  海だ! 海だ! 海が好き!  車窓から見える海はいちばんいいねえ。  日本は海にかこまれているから、どこでも鉄道から海が見えると 思いがちだけど、けっこうみんなが想像するよりも見える場所は少 ない。岡山から広島へ向かう山陽本線などは、第2次世界大戦のと きに、海沿いを走ると、爆撃の的になりやすいということで、わざ わざ山のほうを通している。  妙なところでまだまだ戦争は、現代人の喜びを奪っているものな のだ。  おお! 雲仙岳や、普賢岳が見えてきた。  約10年前に噴火したあの普賢岳だ。正確には9年前だそうだけど、 もうそんな年月が経ったのかと思う。昨日14年ぶりに再会したテ レビ長崎のアナウンサー・山本耕一も、この普賢岳を取材に来て、 同僚が何人か亡くなったそうだ。  そういうことを聞くと、やっぱり『桃太郎電鉄』の火山イベント で普賢岳を爆発させるわけにはいかなくなる。    午後12時20分。島原駅。「水と緑の城下町・島原」という看 板が駅のホームに立っている。この駅の看板のフレーズを集めたい なあ。いい方法ないかなあ。 今後収集してみようと思うので、ぜひ協力してほしい。  あなたの町の駅に立っている看板を教えてください!
島原
 島原駅は、島原城の形をしていて、その駅の前をずっとまっすぐ 行くと、本物のほうの島原城がそびえている。白くて、きれいなお 城だ。  お城に登る前に、まずは腹ごしらえ。  美味しいと評判のお店を調べておいた。戸田圭祐が地図を見て、 「すぐ近くのようでっせ!」というので、歩いていく。  しかしこの2日間でけっこう歩いている。  長崎ではあまり歩いていないと思っていたのだけれど、なにしろ 長崎は坂の町。ちょっとした距離でも、必ず坂がある。  左足の向こう脛(ずね)が痛い。  平地を歩いていて、これだとこのあとお城に登るのがつらいなあ。  ひさびさに戸田圭祐の読みの甘さが発揮された。 「戸田圭祐、この距離は間違いなくタクシーだよー!」 「えろうすんまへん!」 「私は自由業だし、予備日を1日取ってあるから、最寄の場所で泊ま ってもいいけど、君はきょうじゅうに大阪だからね!」 「すんまへん! すんまへん!」  最古のさくまにあ・戸田圭祐は昨日からちょっとおとなしい。  その昔、どっこいどっこいのヘマ・コンビだった山本耕一がすっ かり成長をとげていたので、ショックのようだ。仲間が成長したの だから、戸田圭祐もがんばればいいと思うのだが、まずは当面うろ たえるのが戸田圭祐の特徴なので、しばらくはこっちが迷惑をこう むらないといけない。面倒なやつだ。  島原の名物は、手延そーめん、具雑煮(ぐぞうに)、かす巻きが 名物のようだ。  これに最近噴火まんじゅうが加わった。  あの普賢岳の噴火で思いついたおまんじゅうで、ひもを引っ張る と熱くなるタイプだ。こういう商魂のたくましさなら、賞賛したい。  午後1時。ようやく「六兵衛(ろくべえ)」にたどりつく。  ろくべうどんという、サツマイモだけをこねてつくった黒いうど んが名物で、どの観光ガイドブックにも載っている。  しかしここで私は失敗だったことを思い出した。  手延そーめん、噴火まんじゅう、かす巻きといった品は、何軒も 売っているお店が多いので『桃太郎電鉄』の新物件として登場させ ることができるのだが、このお店のように「ろくべうどん」という 固有名詞だと、『桃太郎電鉄』に登場させることができない。許可 も取らないといけないし、その店の名物であって、その土地の名産 ではない。
うどん
 ろくべうどんを食す。  まずくはないが、ことさら美味しいと絶賛するほどではない。  足がもう棒になっているので、味のほうまで神経が働いていなか ったかもしれない。  食後、島原城に向かって歩く。お店からすぐお城が見えたので、 近いと思ったのだが、これがまた遠い! あと少しというところで、 道は大きくカーブして、入り口が遠ざかる。それでも必死に足を動 かして、入り口までたどりつくと、まだ坂道があって、お城の受付 は、はるか上にあるようだ。  時間は無いけど、お城の近くのお土産屋さんで休むことにする。  少しでもHPを回復させたい。  しかしお土産屋さんは、物販と食事のみで、お茶だけだとダメだ という。ひー!  ええい! 行けるところまで行ってやるぞ〜!  すでに、足は正座したあとのように、じんじんびりびりしている。  比較的歩きこんだ靴をはいてきているはずなのに、足がふくらん で痛い。  午後1時30分。島原城。
島原城 島原城
 とても5階まで登る気力がない。  それでもキリシタン資料館のある、2F、3Fを見て回る。  なかなか資料が充実していて、見ごたえがある。  有名な「島原の乱」の顛末が非常にわかりやすく、こまかく説明 されている。  天草四郎時貞の肖像画がって、過去美形の俳優が、この天草四郎 を演じてきたのだが、洗礼名がジェロニモという名前だったことを 知ると、ついぷっと笑ってしまった。    もうこれ以上歩く力はほとんど残っていないけど、「観光復興記 念館」の文字を見ると、へろへろになりながらも足を進めてしまう。  普賢岳の噴火のジオラマがあって、実際に溶岩を浴びたバイクと かが展示してあって、かなり生々しい。  ひーーー! もうダメ!  まったく歩けない!  おお! 「観光復興記念館」を出たところに、タクシーがいた!  とても島原城を降りて行くことなど、できないぞと思っていた だけに、砂漠に水だ! うれしい!
武家屋敷 島原武家屋敷
 午後2時30分。途中、武家屋敷があるあたりを通ってもらいな がら、島原港に行く。ええっ? こんなに大きくて、きれいなの?  フェリー乗り場って、けっこうあばら家みたいな港がだけに、こ んなに近代的だと思ってもいなかった。    午後2時50分。島鉄フェリー、超高速双胴旅客船「島鉄1号」 で、福岡県の大牟田をめざす。  本当は熊本に行きたかったのだが、熊本行きフェリーは1時間以 上かかるようだ。
フェリー
 私はフェリーのようにのんびり走るやつが好きだ。  高速船は早いのだが、まったく景色が楽しめないのであまり好き ではない。揺れるし。  だからこの小さな船も、揺れが心配だったのだが、海が島原湾か ら有明海ということもあって、まったく揺れず、快適!  午後3時30分。わずか40分で、大牟田に着く。大牟田というの は、三池炭鉱のあるところだ。♪月が出た、出――たの、三池炭鉱 である。ほとんどいまは炭鉱が無くなってしまったので、町に炭鉱 のイメージはない。
大牟田
 午後4時10分。つばめ16号で、博多駅をめざす。  車中、戸田圭祐ときょうは、ずっと現在企画中の新しいiモード ゲームの企画を練る。かなりこのゲームは気に入っている。どこか ら配信するかまったく決まっていないのだが、楽しいので作ってい る。  午後4時55分。博多駅着。  朝、長崎にいて、諫早から、島原半島を回って、大牟田から博多。  十分満足な寄り道旅である。  本当は、予想以上に早く博多駅に着いたので、博多の美味しいお 寿司屋さんに行って、戸田圭祐だけ大阪に帰して、私は博多に残ろ うと思ったのだが、とにかく足がふくれあがってしまったので、京 都まで帰りたくなる。  午後5時27分。のぞみ28号。  私は、ふぐめし弁当、戸田圭祐は、牛タン弁当を買い、車中で食 べることにした。
べんとう べんとう
 ふぐめし弁当は、おいしかったよ! 上品であっさりしていて、 若い人には物足りないかもしれないけれど、減量中の私にはやさし くていい!  午後8時9分。京都駅。  のぞみ号のおかげで、博多と京都は本当に近くなったなあ。2時 42分。やっぱり乗車時間が3時間を切ると、身体が楽だ!  午後9時30分。京都のマンションに着く。  ベッドにひっくりかえって、足を伸ばす。足が痛いーーー!  ああ! でも気持ちいいなあ! 自分の家に戻ってくると! 落 ち着く。  あいかわらず博多と長崎に、1泊ずつだけなのに、1週間ぶっ通し で旅行していたような気分だ。  明日は東京に帰ろうかなあ?  今の時点でまだ決まっていないのがいいでしょ?  ひさしぶりに、京都でじっくり読書をしたい気分。今年のお正月 は仕事しかしていなかったからね。たぶん明後日、東京に帰ること になると思う。
 

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