1月4日(火) 昨夜、うっかり『新幹線はもっと速くできる』(川島冷三著・中 央書院)なんて本を読み始めたもんだから、午前4時すぎまで読み ふけってしまった。眠い! 午前11時。最古のさくまにあ・戸田圭祐が来る。 午前11時30分。京都文化博物館。 毎年恒例お餅料理の店「きた村」のお正月特別イベント。ふるま い酒にお餅のサービスだ。 わが家はここ4年間連続出場である。入院で途絶えた年を計算に 入れないともう5〜6年連続になる。 しばらくして、すぎやまこういち先生ご夫妻、北岡さんご夫妻も 到着。北岡さんご夫妻もすっかり、このイベントの常連になってい る。お店の人たちはまさかわれわれがいつも東京から来ているとは 思っていないだろうなあ。 戸田圭祐は初参加だが、なにしろやわらかい物評論家。お餅が嫌 いなわけがない。おろし、きなこ、とろろ、たらこの4種類のお餅 を食べてすっかりご満悦。ただ素人なので、カメラを向けられると 至福の表情ができない。隣りにすわっていたおばあちゃんと「このお店のたらこ餅はおい しいですよねえ」と話したり、お店のご主人を写したりして、今年 も楽しくお餅をいただいた。 北岡さんのあの気持ちいい、スパーーーン!という音のお餅つき が見られなかったのが、ちょっと残念。戸田圭祐もお餅つきに参加 していたいと言っていたので、へっぴり腰が見られなくて、これま た残念。 午後12時30分。京都文化博物館内の喫茶店「コロラド」でコ ーヒー。 このあと先生方と別れて、私たちはマンションに戻る。 昨夜読んだ本『新幹線はもっと速くできる』に、私と戸田圭祐に とって耳寄りな情報が載っていた。 現在新幹線のぞみとして走っている車両に、500系と700系 というものがあるのだが、この2種類の車両には、試作車があった。 500系は、WIN350、700系はSTAR21という車両だ。 とりわけ私は、 角材をスパーーンと斜めに切ったような形のST AR21が好きで、この車両が載ったときだけ鉄道関係のグラビア 本を買って、うっとりしたものだった。 その後、すっかりこのSTAR21の話題はでなくなっていた。 でないわけである。いつのまにか700系になっていた。 そんなSTAR21と、WIN350が、米原に展示されている と本に書いてあるではないか! 米原の鉄道総合技術研究所の風洞 試験場がそれだ。米原なら、京都から新幹線こだまで、20分。新 快速でも行ける。 これは行くっきゃないと、インターネットで調べて電話する。 ところが、一般公開はしていなくて、電話で見学の申し込みをし て、向こうのスケジュールと合えば、見せてもらえるという方式な のだそうだ。とてもお正月の今の時期にそんなカンタンに見れるわ けがない。 う〜ん、残念。でも私と戸田圭祐にとって、身近な目標が見つか った。夏休みまでには、見に行きたいな。 引き続き、インターネットで近隣のお城を探すが、ほとんど私も 戸田圭祐も行ったことのあるお城ばかりになってしまった。 前回定休日だった、水口城にも電話するが、こんな時期だ。誰も 電話に出ない。 途方に暮れる。 すでに嫁は、骨董品を見に行くと言って、散歩にでかけてしまっ た。残った私とグルメ・バカ娘と戸田圭祐の3人で、どこに行くか いいアイデアが出ない。 私には「行きたい帖」というのがあって、時間があったら試そう と思ってる場所がメモられているのだが、どの場所も食べる場所ば かりであった。 インターネットで検索してるうちに、「はつだ」の特製牛弁当が、 京都伊勢丹の地下2階でも売っていることが判明したのは、収穫で はあるが、たらふくお餅を食べたお腹には、今必要がない。 すると、戸田圭祐が『旅・王・国』で、妙な名前の博物館を見つ けた! そこに行こう! 午後2時30分。嵯峨野鳥居本の町並み保存館。 この通りにある「裸の大将記念館」に行く。 これは絶対行ってみたい名前でしょ! 山下清画伯の記念館というよりも、TVシリーズの『裸の大将』 を下敷きにした記念館だ。だから芦屋雁之助さんが名誉館長。 小さな記念館のわりに、かなり楽しめる。 あまりTVシリーズを見たことがない私がいうのだから、間違い ない。 ひとつ驚いたことがある。 山下清画伯の名作貼り絵が展示されているのだが、これがほとん ど複製画。な〜んだと思うかもしれないが、貼り絵の複製というか らには、いちいち紙をちぎって、貼り込んでいるわけだ、ゴースト ライターさんは! オリジナルの貼り絵を作るより、大変だと思わない? おまけに いくらよく出来ても、名前を出してもらえない。 複製画の下に書かれていた言葉を転載する。 「現在残っている山下清画伯の貼り絵の多くは、時がたつにつれ、 ほとんどが当時の色彩とは、ほど遠いものになってきています。 これらの貼り絵は、原画の写真などを参考にし、リトグラフをベ ースに、当時の色彩をできるだけ忠実に復元したものです」 ゴーストライターさんからの視点から見ると、すごくつらいでし ょ? 複製画がまた見事なのよ。ぜひここに来て、見てほしいなあ。 私は舞台の上より、舞台裏が好きだ。 舞台裏の名もない名人が好きだ。 ふぐ料理の達人よりも、最初にふぐを食べて、死んでしまった勇 気ある人のほうが好きだ。 午後3時。仏野(あだしの)念仏寺(ねんぶつじ)。 京都の観光名所として、有名な念仏寺だ。 しかしどうしてこうも、お寺というのは、寺(てら)と読んだり、 寺(じ)と読んだりするのが、統一されていないのだろう。 念仏寺に向かう人たちはみんな「あ〜、ここが念仏寺(でら)ね」 と発音している。でも念仏寺(じ)なんだそうだ。 まあ、この念仏寺は、私がいちばん好きな戦国武将である、黒田 官兵衛(くろだ・かんべい)の外孫が再建したと書いてあるから、 好意的に見てあげよう! それでも石段と砂利道を歩くだけのお寺なので、ひたすらへばる。 さらに、長い坂道を鳥居本に向かって、歩いたので、足がじんじ んし始める。ふと気づくと、携帯電話が圏外になっている。これっ て、相当人里離れたところに来てしまったってわけ? 午後3寺45分。鮎料理で有名な「平野屋」さんにたどりつく。 抹茶とお菓子があるようなので、立ち寄る。 ふと思い出して、お店の方に聞く。 「ここの息子さんは、東京の穂積というお店に修行に行っています か?」 「はい!」 ありゃ、ホントだった。この情報は先日、グルメ・バカ娘が聞い て来たばかりの情報だったのだ。 しかも「ついさっきまでここにいたんですよ」と、『ドラクエ2』 の2人目の王子みたいな情報を言う。ありゃ、それは惜しかった。 「たったいま、汽車で東京に向かったんですよ」 汽車でという言い方がいいねえ! 平野屋さんでは、ゆずしぐれとうす茶をいただく。 囲炉裏の炭が温かい…。 午後4時10分。さらに歩いて、愛宕(おたぎ)念仏寺まで行く。 見上げると階段が幾重にもかかっているので、私は登頂を断念す る。五百羅漢ってことは、少なくともその数の分だけ、道と階段が ありそうだ。 グルメ・バカ娘と戸田圭祐は軽快に、走って登っていく。 はあはあ…言わせながら、戸田圭祐が戻ってくる。 そのあとから、もっと苦しそうな顔のグルメ・バカ娘が戻ってく る。きっとこいつら、競争したな。大人げないやつらだ。 午後5時。寺町電気街まで戻る。タニヤマ無線で、加湿器を探す が気に入ったのがなくて、そのまま寺町通りを北上する。 午後6時。嫁と待ち合わせて、寺町三条の「三嶋亭(みしまてい)」 に行く。グルメ・バカ娘がとってもとってもとっても大好きなお肉 屋さんだ。 いつものように、オイル焼き。 箸で、するっと切れるやわらかいお肉に、戸田圭祐は「ふ〜む」 の連発。 「やっぱり三嶋亭がいちばんおいしさがわかりやすいでんなあ!」 と大いに喜ぶ。そりゃ肉の美味しさは誰にでもすぐわかるわな。 このところ、ちょっと三嶋亭の登板間隔を開けていたために、よ り美味しく感じる。ひさびさにご飯をお代わりしてしまった。 やっぱり美味しいねえ! 午後7時30分。マンションに戻って、戸田圭祐がいるので、い ろいろ東京から持ってきたゲームをやらせる。 いつもひどいゲームばかりなのだが、きょうはひさびさに良質な 作品が多かった。 『信長の野望』をボードゲームにしたような『ジパング島』という のがなかなかよかった。でもいかんせん、地味。MAP曲が決定的 に合っていないのが惜しいったら、ありゃしない。どこが作ったん だ?とパッケージをひっくり返したら、これがヒューマン! これ また惜しい! 和議申請したばかりのメーカーではないか! ヒューマンって、意欲的な作品が多くて、好きだったんだけどな あ。ただ意欲作は外す確率が圧倒的に高い。 『チョコボレーシング』は見ているだけでも楽しい。 レースゲームがまったくダメな、グルメ・バカ娘が戸田圭祐が大 阪に帰ったあともずっと、ひとりでやっていたぐらいはまっていた。 『ダイスDEチョコボ』もあいかわらず見事なグラフィックだけど、 毎ターン、グラフィックが華麗なので、どの場面が重要なのかがよ くわからない。 ほかにもいろいろやったけど、やっぱりゲームを始めて、30分 以内に1回はプレイヤーを喜ばせてくれないとねえ! 笑わせてく れないとねえ! 甘えさせてくれないとねえ! ゲーム作りの参考になるのは、こういった名前を出せないほうの ゲームだな。 ひさびさにゲーム・エネルギーを補充したので、『さくま式奥の 細道』の手直しをやろう!
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